「病名は?」 「レ、レチノブラストンマ?」 板東は口ごもってメモを読む。 谷口本部長が話の接ぎ穂を受け取り、補足する。 「何でも、癌の一種だそうです」 「中学生が癌にかかるのか。ひどい世の中だ」 加納が呟く。 海堂尊『ナイチンゲールの沈黙』 より