土佐人 2014-11-24 06:43:24 |
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七番のモニタに答え、ちらりと四番ベッドに眼をやる。画面から、馴染みの強い視線が届く。速水はモニタから意識をそらす。最後に視線を、灰色のコンクリートだけを淡々と映し出す右端のモニタに振り向ける。眼球を押さえ、ため息をつく。
「桜宮の空にドクターヘリが飛ぶのは、いつの日になるやら」
机の上のヘリコプターの羽が、音もなく微かに回転した。
海堂尊『ジェネラル・ルージュの凱旋』第一章 潜航 本文 より
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