土佐人 2014-11-24 06:43:24 |
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俺はぐうの音も出ずに、黙り込む。白鳥はにこにことしながら続ける。
「せっかくですから、田口センセの心の荷物を軽くしておいてあげましょう。この話は、一億円の借金のある相手に、本当の借金は一億と百円です、と告白したようなものなのです。絶対チャラにしてくれますよ。ね、少しは気がラクになったでしょ?」
俺を慰めようとしているその気持ちだけは十分伝わったが、これで気が軽くなるようなヤツがいたら、お目にかかってみたいものだ。いきなり一億円の負債を負わされて意気阻喪している俺の気持ちなんて考えようとせず、白鳥はさらに顔まで踏みつけてくる。
「それに、本当のコトを言うわけにはいかなかったんです。僕だって怖いですよ。いくら真実でも、さっきの話を教えてくれたのが高階病院長だったことを、黒崎教授ご本人に直接言うなんて、気の弱い僕にはとてもできませんでした。」
わかったよ。降参だ。俺は肩をすくめた。
『チーム・バチスタの栄光』第二部 「ポジ 白い槍」本文、白鳥圭輔の台詞 より
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