土佐人 2014-11-24 06:43:24 |
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「しばらくは同盟者と信じたい……こんな私を悲しい女と思うか?」
「…………」
シャアは返事に窮した。キシリアはザビ家の一方を支える政治家であるはずなのだ。これはあまりに悲しい女の悟性の言わせることではないのだろうか?
「そ、その言葉こそ悲しいと思いますが、人はそういうものと理解します。笑いはしません。私もそういう思いを重ねてきました」
シャアは本音を語った。
「ン……。キャスバル・ダイクン……私はギレンに討たれるよりキャスバル坊やに討たれる方を選ぶだろう……が、明日の保証はしない。それはお前もそうのはずだな」
「はい……」
シャアは挙手をしてマントをひるがえした。これですべての挨拶は終わった。状況の推移の中でひょっとしたらキシリアを討つ心境にもなる事もあろうし、討たれることになるかも知れぬ。が、ゲームとしては面白いことだ。共に己の運と能力を試すには……。そして、この程度のゲームをこなすこともできずに人の世の覇権を手に入れられぬだろうとシャアは思った。
アニメ『機動戦士ガンダム』小説 第三巻 PART20 胎動 本文 シャア・アズナブル(キャスバル・レム・ダイクン) キシリア・ザビ より
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