土佐人 2014-11-24 06:43:24 |
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だが、展望デッキを出たところで、二人の前にトールが立ちはだかった。
「……何やろうとしてんだ、おまえ!」
トールの顔は硬かった。キラは苦しげに顔をそむける。
「黙って行かせてくれ。トール……僕は嫌なんだ。こんなの」
トールはしばらく黙ってキラを見つめた。やがて、にっと笑う。
「----まっ、女の子人質に取って逃げるなんて本来悪役のやることだかんな」
キラが驚いて見ると、こつんとその頭をごつく。
「手伝ってやるよ」
(略)
「これ着て。その上からで……」
----いいです、と言いかけて、キラの目はラクスのロングスカートにとまる。このスカートの上からでは難しいような気がする。
ラクスはキラの視線に気づき、にっこりする。肩のストラップを外し、するりとスカートの部分から足を引き出した。それでもドレスの身頃の部分が、ミニスカートのくらいの長さで残っているのだが、思わずキラは赤くなって目をそらした。
スカートをつめこんで、ぽっくりふくれた船外作業服の腹部を見たトールは、つい、
「……いきなり何ヵ月?」
とつぶやいた。だが自分以外の二人が、どこか似通ったぼやんとした顔で首をかしげるのに気づいて、忘れろ、と手を振った。
アニメ『機動戦士ガンダムSEED』小説 第一巻 キラ・ヤマト ラクス・クライン トール・ケーニヒ より
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