土佐人 2014-11-24 06:43:24 |
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タリアはやりきれない思いで、深く息をつく。
-----我々はなにをやっているのか?
いつまでこんなことが繰り返されるのか?
やられてはやり返し、際限なく死者の数が増えていくばかりで、この状況からの出口さえ見えない。
これほどの惨劇をなぜ人は求めるのだろう?いかなる理由があれば、こんなことが正当化されるというのだろう?
「正直、こんな戦闘ばかりを繰り返して、どうなるのかという思いはありますね……」
アーサーも肩を落として、じれったげに言った。
「さきの大戦の轍(てつ)は踏むない。ナチュラルとはあくまで融和を----とする、議長の考えはよいですが……討つべきものはさっさと討ってしまった方がいいのでしょうか?でないと、いつになっても終わらないと思います、この戦争……」
彼にしては珍しく的を射た発言に、タリアは戸惑いながらうなずく。
「……かもしれないわね」
“プラント”に領土的野心はない。行うべきは積極的自衛権の行使だ----さきの大戦のような全面的衝突を回避するために、デュランダルらが決定した方針だ。それゆえ、これまでザフトは、大規模な作戦に訴えることもなく、ユーラシア西側独立に力を貸すような形で、これまで各地の戦線を維持してきた。おもに“ミネルバ”やラクスを用いてのプロバガンタによって。
だからこのような地球軍の強引なやり方に太刀打ちできない。もしはじめから充分な兵力をもっつことに当たっていたなら、こんな虐殺は回避できたのではないか?
そんなもどかしさを、たしかにタリアの裡(うち)にも育ちつつあった。
アニメ『機動戦士ガンダムSEED destiny』小説 四巻 タリア・グラディス アーサー・トライン 本文 より
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