土佐人 2014-11-24 06:43:24 |
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巨体のいたるところから炎を噴き上げ、水面を赤く輝かせながら、“タケミカズチ”が沈んでゆく。
そのさまを前にして、ネオは静かに手を挙げ、礼を取った。
“タケミカズチ”の蛮勇ともいえる突出を演出したのは、あの柔弱なユウナ・ロマではあるまい。トダカ一佐----たしかそう名乗った軍人の、実直そうな顔がネオの脳裏に浮かぶ。これがあのオーブ軍人たちが最後に選び取った、国を護る道だったのだろう。
勇者が逝く。壮絶な生きざまとその意志を、残った者たちに見せつけて。
ネオは彼らを哀れとは思わなかった。
この凄絶な死は、全世界に伝えられるだろう。オーブの意志を知らせるものとして。全世界は彼らのために涙し、連合を憎むだろう。だがもはや連合は、オーブに手出しすることはできない。オーブはこれほどの犠牲を払って連合に恭順の意志を示したのだから。
彼らその死をもって、祖国の安寧を勝ち取った。それこそが彼らの望みこそすれ、悔やんだりはすまい。
アニメ『機動戦士ガンダムSEED Destiny』小説 三巻 本文 より
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