土佐人 2014-11-24 06:43:24 |
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バルドフェルドはふと目を開けて、そのまま空を見上げた。明るくなっていく空はかすかに夜の名残をとどめ、甘くやさしい空に染まっている。彼は唐突に聞いた。
「……死んだ方がマシ-----という台詞はけっこうよく聞くが、本当にそうなのかね?」
「はあ……?」
知りませんよ、まだ死んだことないんですから----と、ダコスタが答えようてしたとき、通信が入った。“バクゥ”からのパイロットからだ。
<隊長、後方から接近する車両があります。六……えー、八、レジスタンスの戦闘車両のようです>
ダコスタは思わず上官を見やった。さっきから彼が言っていたのは、これを見越してのことだったのだ。彼はレジスタンスの反応をすべて読んでいた。はじめからバルドフェルドはここまで見越して街を焼いたのだろうか?
そうかもしれない。彼はやはり合理的なのだ。非戦闘員は殺さず、レジスタンスを待ち受けて討つような卑怯な真似もせず、しかも最終的には彼らを叩く。それは相手の選択によるものだ。挑発に負け、昨夜の戦いに増長し、明らかに戦力の違うザフト軍に追撃をかけるという、愚かな選択をしたのはレジスタンスの方だ。
バルドフェルドは深く青い砂漠の空を見上げたまま、つぶやいた。
「……やはり、死んだ方がマシなのかねえ?」
アニメ『機動戦士ガンダムSEED』小説 二巻 アンドリュー・バルドフェルド ダコスタ より
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