土佐人 2014-11-24 06:43:24 |
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昭和六十X年X月のある日、新宿のホテルに三人の男が首を長くして待っていた。その三人とは、東映プロデューサーの平山亨、阿部征司、作家の伊上勝。いずれも仮面ライダーの生みの親である。「やあ、やあ、またしてすまん」と、入ってきたのは仮面ライダーの育ての親、おなじみ、立花藤兵衛だった。仮面ライダーが日本から姿を消して長い年月がたっていた。この四人は、ライダーが今、どこで、何をしているのか、思わずにはいられなかった。立花藤兵衛が、三人にカセットテープをみせた。「これだよ!これが仮面ライダーの今の活躍を知らせるメッセージだ」「まず聞かせてくれよ、藤兵衛さん」伊上の声にうなずく平山、阿部。メカに強い阿部がテープを操作した。テープがゆっくりまわり出す。「親父さん、日本の皆さん」なつかしい、仮面ライダー1号の声が流れ出した。「僕は今、アフリカ大陸にいる」「やっぱりそうだったのか」平山が、つぶやいた。ライダーの声が続く。「アフリカの難民を、何百人という子供たちを救おうと、一生懸命なのです。しかし、いくら仮面ライダーといえども、その力に限りがある。ある日、僕は気づいたのです。どうして、老人や子供たちが餓えているのか?働ける男女の姿がないのか?僕は若い男に変装して砂漠をさまよって見せた。驚くべきことに、アリ地獄に落ちて気を失った。そして気がついた時、そこはショッカーの大地下帝国の奴隷室だった。アフリカ大陸の地下に、ショッカーの大帝国が建築されつつあった。それが原因で地上の大陸の緑や、水や穀物が、失われていったのだ」ライダーのテープを聞く四人は、思わず顔を見合わせた。「さすがにライダーだな」阿部が感心の声を上げた。ライダーの声はつづく。「地下帝国の奴隷室から脱出した僕は、この巨大なショッカーをつぶすために今、地球上に散っている仲間のライダーを集合しつつある。ライダー二号、V3、と三人が到着した。ライダー全員がアフリカ大陸に集合した時、ショッカーと決戦がはじまる。そして、必ず地下帝国を、たたきつぶします。それがいつの日か、いや、遠い日でない事を約束します」テープは終わった。「仮面ライダー、故郷に帰るか…」四人の顔は明るかった。
まとう、ライダーの帰る日を、諸君!
講談社 創刊15周年記念 テレビマガジン特別編集『仮面ライダー大全集』仮面ライダーstaff・castインタビュー 脚本家 伊上勝 メッセージ書き下ろし より
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