土佐人 2014-11-24 06:43:24 |
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「----ザフトと“ジン”は振り切れても、あの四機が問題ですよね」
割り込んできた聞き慣れた声に、ムウとマードックがぎょっとして振り返る。
「----坊主!?」
パイロットスーツを着こんだキラが、いつもとかわりない様子でやってくる。ムウたちはしばし唖然とした。そんな二人の前を通りすぎながら、とっくに艦を降りていたはずの幼いパイロットはあっさり言う。
「“ストライク”で待機します。まだ第一級戦闘配備ですよね」
コクピットへ漂ってゆく少年の後ろ姿を見送りながら、ムウが低くつぶやいた。
「あんま若い頃から、戦場とか戦争とかに浮かれちまうと、あとの人生キツイぜ……」
その声にはいつもの飄然とした調子はなく、どこか寂しげな響きがあった。マードックはちらりと、『エンディミオンの鷹』と呼ばれる男を見やった。ムウがエースパイロットとして戦地に名を馳せたのは、キラほどではないが、ほんの若造と呼ばれるころだったはずだ。
今漏らした言葉、それは、自らの経験だったのだろうか……。
アニメ『機動戦士ガンダムSEED』小説 キラ・ヤマト、ムウ・ラ・フラガ、マードック曹長 より
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