土佐人 2014-11-24 06:43:24 |
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「法律はなければなりません。でも、法を施行する者だけが法を曲げていいなんて、そんな無茶苦茶なことが罷り通っていいはずがありません。松井さん、一緒にやりましょう」
「私はできんよ」
「立場がそれほど大事なんですか?」
「私だけではない。SNNの立場もある」
「卑怯だ」
「納得のいく妥協案を見つけ出す。それが大人になるということだよ」
「あなたは負けたんです」
「ん?」
「軍という強く大きな権力に負けたんです」
「清濁あわせ飲む度量を持ちたまえ」
「そうではない。だからフリーのキミに話したのだ」
「いい考え方ですね」
「どうするつもりだ?」
「腐った魚を放置するわけにはいきません。そんなものを食べ続けていたら死にます。誰もやらないなら、俺自身の手でゴミ箱に捨てるしかないでしょう。あなたの扇動にあえて乗りますよ。でも、もうマクロス艦内にバズーカ煙草はないでしょう。直接、ブラック・パンダに乗り込むしかなさそうですね」
「なんだって?」
「ゴー・フォー・ブロウクン!あたって砕けろですよ」
「若いな。私はすでにキミのその若さを羨む歳ではないよ」
「大人は……だから嫌いです」
ヒビキはその場を去った。
----地球が壊滅したとき、多くの人々を救ってくれたマクロス艦。
----文化の象徴であったマクロス艦。
----そのマクロス艦内に腐敗したバズーカ煙草が隠されていた。
ヒビキはやりきれない思いで、廊下にペッと唾を吐き捨てた。
OVA『超時空要塞マクロス‖ Lovers Again』小説 第三巻 第5章 ブラック・パンダ 神崎ヒビキ、松井ディレクター
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