土佐人 2014-11-24 06:43:24 |
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ふたりが一階に下りると、佐古が待っていた。憑き物が落ちたような清々しい顔をしている。
「先日は暴言を吐いてすみませんでした」ふたりの刑事に向かって頭を下げ、「署長と副署長が処分されたと聞きました。あなた方が?」
「まさか」と、右京が笑う。
「今回のこと、赤井さんのご遺族にすべて話そうと思います。これから奥さんに会いに行くつもりです」
「彼女を苦しめることになるかもしれませんよ」
「わかってます。それでま頭を下げようと思います」
「許してくれないかもしれませんよ」
「でも、決めましたから」佐古の目には決意が宿っていた。「誰に命令されたのではなく、自分で決めましたから」
一礼して立ち去る元巡査部長の背中が、薫には大きく見えた。見送りながら薫が隣の相棒に訊く。
「結局俺たち、トカゲの尻尾を切っただけだったんですね」
「そうかもしれません。特命係はますます居づらくなるでしょうねぇ。我々も警視庁の中ではトカゲの尻尾ですから」
「そうですね。でも、切られたらまたすぐに生えてくればいいんですよね!」
薫が力強く言うと、右京は嬉しそうににっこり笑った。
ドラマ『相棒』第三話「」亀山薫の憂鬱な日々」本文 杉下右京 亀山薫 より
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