「どうしました。行きますよ」 右京の声が無情に響く。薫はまだ身動きできないでいた。 「時に正義というのは残酷です。ですから、覚悟が必要なんです。これから行く末廣亭でも、どんな残酷な現実が出てくるかわかりません。覚悟がないなら、降りていただいても結構です」 右京が警察車両の方へ身体を向けた。薫は黙ったままそれに従った。 ドラマ『相棒』第三話「亀山薫の憂鬱な日々」小説 杉下右京 より