土佐人 2014-11-24 06:43:24 |
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そのことばを右京が聞きとがめた。いきなり語気を荒くして薫に迫る。
「無駄骨とはなんです。刑事の仕事は、きみが望んでいるように凶悪犯を捕まえることではありませんよ」
「え?」
「犯人を捕まえるだけなら、一般市民にだってできる。市民にも逮捕権がありますからね。しかし、彼らには捜査権はない。あれこれ調べ回る権利はありません。捜査権を持っているのは、警察官と検察官だけです。つまり、われわれの仕事は、無駄だと思える捜査をこつこつやること、無理だと思える調査に身を削ることです」
「すみません……」
「きみは心得違いもはなはだしいですね」
右京はいつも正論を吐くが、今回の正論には打ちのめされた。薫はうなだれるしかなかった。
ドラマ『相棒 警視庁ふたりだけの特命係』第二話「華麗なる殺人鬼」小説 杉下右京 亀山薫 より
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