匿名* 2014-10-22 18:28:42 |
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…! ――赤、司くん……
( 辺りに人が居ないのを良いことに俯いて嗚咽を溢し乍泣き続けていると、突如頭上から自分の名を呼ぶ落ち着いた穏やかな声が聞こえピクリと僅かに肩を揺らし。あの頃より若干声が低くなっていたものの、其れは見て確認せずとも誰なのか直ぐに見当が付き。頬に涙を伝ったまま目の周りを真っ赤にした表情で恐る恐る見上げてみると、其処にはかつての想い人であった相手の姿が目に浮かび。間近で見てみると本当に大人っぽくなったな…と何処か取り残された気分になり又しても切ない感情が胸の奥に刺激を与えつつ、付き合っていた当時は相手のことを下の名前で呼んでいたが距離を置いた今となってはすっかり他人的な苗字呼びで彼の名を口にして。やはりあの後追い掛けてくれたんだ、と期待を裏切らないところはあの頃と何一つ変わっていない相手に濁っていた心は嬉しさによりみるみると澄み始め、故に意識は無かったが思わず頬が緩みそうになれば慌ててハッとして顔を逸らし。今更乍溜まりっぱなしの涙に気づくと慌ててグシグシと拳に固めた両手で手荒に拭い「……何か用?」自分ではこんなに大袈裟にするつもりはなかったが、眉間に皺を寄せて此れまでにない程冷たい声調を出せばあからさま機嫌の損ねた態度で接し、頑として相手と視線を合わせようとせずに短く問い掛けて。)
(/いえいえ、全然お気に為さらずです!
此方こそ急かしてしまった様でしたら大変申し訳御座いませんっ…; )
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