柊 2014-06-16 01:29:42 |
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>柊
(まだ夢の中なのだろうか、風が白い粉雪を巻くように舞い上がると遠くに美しく佇む柊の姿が見える。白い雪の中どこか切なげに空を仰ぐ彼は至極儚げに見えた。放っておけばそのまま消えてしまいそうな気がして手を伸ばすが一向に届かない。そのままリンと鳴る鈴の音と共に白いしろい粉雪が彼を纏い去っていき—----)
……ひい、らぎ?
(カクンと首がなると共に意識が浮上しうっすらと瞼を上げる。そして握っていた相手の手を握ろうとした瞬間そのぬくもりが無いことに気が付きはっとなる。-----柊がいない。一瞬にして背筋が凍り付き、相手を失ってしまったという錯覚に陥って。まだ夢の中であって欲しいと思うが胸の痛みと己の乱れた息遣いが現実であることを告げる。身体が小刻みに震えればそれを抑えるように柊が眠っていた布団をぐっと握る。呼吸が苦しい。崩れ落ちるように布団に肘をついた時だった、はらりと羽織が横に落ちる。それを見た瞬間、動転していた感情が徐々に治まり、空気が喉を通ればゆっくりと息を吐いて。
(ふらりと立ち上がれば自然と足は導かれるように縁側へと向かう。
果たして愛しき想い人はそこにいた。風で白い髪が揺らぎ、静かに瞳を閉じる姿はやはり美しく綺麗で。すぅと胸につかえていたものが消えていけば背後からゆっくりと歩み寄り静かに屈むとすっぽりと包み込むようにして華奢な身体を抱き寄せる。そしてその存在を確かめるように腕に力を込め、ことりと相手の肩に頭を預けて。それをかわきりに堪えていたものが一気に溢れ瞳から涙が溢れるのが分かった。喉がクッと鳴り抑えようのないそれを相手に悟られたくなく嗚咽が漏れることは何とか免れるも瞳から零れる雫は止めようがなく。
……柊、よかった、居てくれて……急に居なくなるから…心配、させるな
…………絶対、振り向くなよ。…暫くこのままで居ろ…、…
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