柊 2014-06-16 01:29:42 |
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>柊
……----柊!?
(辺りの冷気が引いていくのを感じうっすらと瞳を開くと涙で潤んだ柊の瞳と目が合う。戻ってきてくれたと安堵するのも束の間、その身体からすぅと力が抜けだらりと倒れかかってきて。何が起きたのだと、暫く状況が飲み込めず混乱するがはっとなると相手の身体を揺する。それでも目を覚ます気配のない相手に酷い喪失感に襲われると、呼吸が乱れ力の抜けた華奢な身体をここに繋ぎ止めるように抱き締めていて。
数分後、なんとか気持ちを落ち着かせると、始めの頃よりは大分良くなったがまだ苦しそうに息をする柊を布団に寝かせて。
(柊の傍を片時も離れたくなかったが、ここまで柊が苦しみ己を待ってくれていた時間を無駄にはしたくない。そう思うと急いで薬草を煎じるための道具を寝室に持ち込む。それからは柊のすぐ傍で時折髪を撫でたり手を握ってやったりしながら薬を調合して。
その間、シラタマは柊の胸の上に乗って喉をゴロゴロと鳴らし尻尾をゆらりゆらりと揺らしていて。その瞳はどことなく普通の猫とは違う意味深な光を宿しており「…シラタマ?」と呼びかけるといつもより低く「ミャー」と鳴いて。
(薬を調合し終え枕元の片隅に置くと柊の手をそっと握る。不甲斐なさと申し訳なさで胸が痛むが今は自分ではないとその感情を抑え込み、ただ相手を優しく見守って。しかしそうする間、疲労と睡魔が襲えば座ったままの体勢で眠りに落ちていて—-)
(---夢。白く淡い光の中を己は佇んでいて辺りを見回しても其処には何もない。ただ心地よい風が吹き少し涼やかなぬくもりが己を包み込む。そしてその風に乗ってリンと鳴る鈴の音と共に声が聞こえてきて「-----の願いは叶った。あとは—---」風が舞い上がる音でよく聞き取れないそれは何を意味するのか分からない。ザーとざわめく風の中「ニャー」とシラタマの鳴く声が聞こえた気がして—---)
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