柊 2014-06-16 01:29:42 |
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>柊
…どこまで行ったんだ、あいつは
(すぐに見つかるかに思えた相手は思っていた以上に足を遠くへ運ばせているようでなかなか姿が見当たらない。薄桃色や紫に色付く紫陽花に目を惹かれながらも今は彼を迎えにいかねばと妙な焦燥感にかられながらぬかるみの中、足早に歩みを進め
(普段はカランと鳴る下駄も今はピシャリピシャリと水を弾く音を響かせる。またしっとりと水分を含み始めた着物が肌にほんの少しまとわりつく感覚にやはり傘を差してくるべきだったと後悔して。冷えてきた身体を温めようと袖に腕を通しながら歩いていたが、流れの速い川音と共に子猫の鳴き声が聞こえピクリと肩を揺らしては胸のざわめきが大きくなるのを感じ鳴き声がする方へ向かって
…あいつ、何やって、……柊、危ないからやめろっ!
(橋付近に来て傘を見つければ其れを拾い上げ不審に思うが、すぐに相手が濁流に近い川に子猫を救うために突き進んでいるのが目に入り、背筋が凍り付いて。最悪の事態を想定して思わず叫んでその後を追うように一歩川に踏み込むが、その時、丁度上流から小振りではあるが勢いを増した流木が相手目掛けて襲い来るところ
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