主 2014-06-09 21:58:16 |
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>逢見様
博識などとは…。私の知識と言葉など唯の絵空事。全ては余人の書き綴った読本を読んだまで。……こなたのお力添えあれば私は何にでもなれよう
(謙遜ではなく、読み漁った地本の知識から思ったことを口にしたまで故に感心されるような事ではないと首を小さく横に振り。風に揺れ時折、奏でる鈴鳴りと共に告がれた言葉には、足を揃えるよう半歩下がり目を細め、ゆっくりとした動作で右手を胸の前に持ってくると恭しく僅かばかり頭を下げて静かな声色で上記を述べ。「お座敷に案内させて頂きたく」そう言うと相手を屋敷内に招いては新造に頼むことなく自ら盆に酒と己の飲む白湯を用意して。座敷まで進んでは一度盆を床に置き、膝をつくと襖を開き相手を先に通す。そして相手が座る前に白糸で鈴蘭が刺繍された座布団をすかさず敷き、盆を相手の前に置くと、風が通るよう小窓を開け、そこに丸みのある白提灯を月に見立てて吊し、光を灯して。「今宵の月は不格好であれど触れることが叶うよう。…こなたの棒組はそのままで良いか?」相手の右斜め後ろに正座をすると、金粉の入った盃に酒を注ぎ、水面に金を浮かせては控えめに相手の前に滑らせて。視線の先に鈴の付いた朱鞘刀が目に止まれば盃の場では邪魔にはならぬかと問うてみて
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