【ＢＭＬ要素有】吸血鬼親子

（/下げてたみたいです。ごめんなさい。のんびりやっていけたらと思います。）

（喉が鳴る音に口許を緩め、息子の金髪に手を伸ばし、避けられなければ指を差し入れて梳こうと。）
――ティオ。
（息子に自分の血を与えたのは何度目だろう。守るべき場所、血を分けた家族になら、血など幾らでも差し出せる。シャツの裾をめくり、左手首をティオに見せながら問う。）
俺の血を吸うか？

(/ブクマつけました！無理ないスピードにて、宜しくお願いします。)

(自分に向かって伸ばされた手には逆らう事なく、父が髪に触れて梳く事は出来ただろう。)
あ…。
(目の前に晒された父の腕は自分のものよりも逞しい。どくん、と心臓が脈打った。−血が欲しい。より明確となった欲求に紺色が滲み、誘われるように両手を伸ばす。)
くださ、い…。

（/畏まりましたー。）

（息子の紺色の瞳が揺らめき、拙い響きは懇願のように聞こえた。男は血を求められる事に嬉しげに笑い。）
吸い尽くすなよ？
（左の手首は手を伸ばす息子に委ねる。そんな事もないだろうと思いながら、戯言を。）

(/今日はこれで。おやすみなさい。)

…は…。
(早く、血を。自分の理性が飛びかけているのを何処か遠くに感じている。無理矢理押さえ付けようと思えば出来るのに、若い身体は欲望に身を任せようとしていた。血で満たされたらきっと我に返るだろう。委ねられた手首の波打つ場所を舌でちろりと舐め…慎重に牙を穿った。)
…ん、
(暫く無心に血を啜っていた。うっとりと細めた目は赤と青の混じった紫色。)

（/おやすみなさーい。こちらもこれだけ落として寝ますね。）

（戯言も耳に入っていないらしい、真面目な息子の欲望に塗れた姿を見ていた。弾力のある彼の舌が血管の上を這い、白く尖った牙が皮膚を破る。）
…っン…。
（走った痛みで瞬間力は入るも、血を吸いやすいように力を抜いて。痛みの裏に潜む快楽を楽しむように、慈愛に満ちた瞳を向けながら空いた手で息子の背中を擦ってやっていた。）

(/こんばんは。取り敢えず一投しますね。)

(血を取り込むにつれ、自分の中が満たされていくのが分かった。吸血鬼になる際に口にしたのは父の血だからか、一番自分に馴染むように思える。人間の血も吸ってはいるのだが。)
…っ…、
(−と、薄い飢餓が収まると戻って来る理性。この吸血に緊急性はない。終わりにしないと…そう思い、慌てて牙を抜く。無意識に牙の跡に滲んだ血を舐め取ってしまう自分が浅ましく思えて。)
…ごめんなさい…。
(床に視線を向けて、謝罪する。)

（/こんばんはー。）

（自分の血を吸っている息子の様子を見ていた為、そこに理性が戻ってくるのも見えて。慌てて牙を抜き、血を舐めとる息子が俯いて謝罪すれば。）
渇いていたんだろう。何故謝る？
（吸血鬼であれば、血を欲する事は当然の事。何も悪くはないのにと。不思議そうな色さえ滲ませて問いかける。その時には牙の痕はゆっくりと塞がり始めただろう。）

(掛けられた父の声は不思議そうな響きすら含んでいて申し訳なさが募る。)
…っ、だって、それ程渇いていたわけではなかったのに…。
(自分の衝動を抑える事が出来なかった。きつく拳を握り締めて戒める。未熟な自分が悔しい。)

（息子の片方の拳を両手で包もうと手を伸ばせば、きつく握り締められている事が分かり。それを宥めるように労わりの言葉を掛ける。）
――いいんだ。今は特に差し迫った脅威もない。お前はこれから強くなっていけばいいんだ。
（人一倍真面目な息子の事、自分を責めているのだろう。）

(/今日はこれで失礼致します。おやすみなさい。)

(父から掛けられる言葉は変わらず優しくて、目の奥がじんと熱くなった。)
…俺は、もっと強くなりたいです。
(血の誘惑になど簡単に揺るがないくらいの。それくらいの強さがあればきっと−…。)
早く父さんの役に立ちたい…。

（/了解しました。すみません、明日夜は来れなくて…。）

（血の誘惑に容易に揺らぐ若い息子を。愛おしいと、守ってやりたいと思う。同時に自分の為に強くなりたいと願う真っ直ぐな心根も愛すべきもの。）
焦らなくていい。だが、その心意気は頼もしいな。
（望むなら、自分の持つ全てを彼に教え込もう。手を伸ばせば、金の髪に触れられるだろうか。）

(/そうなんですね。分かりました！)

−はい…っ。
(頼もしいと言われて心が弾むが、まだ相応の結果を残せていない。荒事が苦手故に選んだ使い魔も制御しきれていないのだから。父の手が自分の金髪に触れたなら、紺色の目を細めて相手の銀朱の髪を眺めていた。暫く時間が経って、自分達がまだ玄関にいる事に気付き。)
父さん、居間へ行きませんか。休息を…。
(出掛けていた父を居間へと誘う。)

(/ティオの他にも息子来ないかなーと願いつつ、今日はこれで失礼します。)

（/戻りましたー。）


（ティオが焦っているのには気付いていたが、こればかりは自分で骨を掴み、慣れていくべきものだと思っている。居間へと声を掛けられれば、それ程疲れてはいないものの息子の気遣いを拒絶する理由などなく。）
―あぁ、そうだな。
（共に居間へと歩いていくだろう。メイド姿の人形はワインを持ってやって来るだろうか。）



（/あ、いつでも息子募集中ですよん。）

(/おかえりなさい！)

(父と居間へと向かいながら歩く薄暗い廊下。繁華街のように光に満ち溢れてはいないが、吸血鬼の身にはこの程度で十分。)
−あの。この後に父さんに時間があったら、稽古をつけて貰えませんか。
(やがて居間に入り、父と向かいのソファーに座ると、意思の篭った目を父に向け。休息を勧めておきながら正反対の事を頼む。情けない事だが。)

（/ただいまですー。）

（多少の薄暗さなど問題ではなく、むしろ心地よささえ感じる。多少古めかしい物件ではあるが、庭から客室に至るまでまで人形が手入れを行ってくれているので快適だ。稽古の誘いには目を細めて。）
構わないぞ。稽古…という事は剣か？
（今どき剣など、と言われるかもしれないが、男の基本スタイルは長剣による戦闘。メイドの人形がワインを持ってやって来れば。）
ティオ。お前も飲むか？
（少し飲んだくらいでは自分の剣技の鋭さは変わらない。）

(父から快諾の返事が返ってくると、ほっとしたように表情を僅かに緩め。)
はい、お願いします。…俺はコーヒーにしておきます。
(ワインの方は断る事にして、メイドの人形にオーダーすれば、彼女は音もなく台所へと向かった。肉体の年齢が１９だから、という事ではなく、稽古前に酒が入ってはいけないという自戒。父の相伴なら喜んでするのだが。)

（/今日はこれで。おやすみなさい。）

（退室する前にメイドの人形の注いでいったワインを口にしつつ、向かいに座った生真面目な息子の返答を聞いて藍色の瞳を細め。）
お前らしいな。
（自分が半人前だった頃もそうだったように思う。自分に稽古を、と言うからには実戦形式か、などと次の事を考えながら、ワインは一、二杯に留めておこうかと。）

(/はい、こちらもこれで落ちますね。おやすみなさーい！)

(お前らしいと言われると眉を下げて笑い。)
終わったらお付き合いしても…。
(いいですか、なんて父の様子を伺いながら言っていると、メイドの人形がコーヒーを持ってやって来た。砂糖を一欠け入れ、ティースプーンで掻き混ぜて口にする。)
…ん。
(ワインは飲めてもブラックは飲めない。そんなところは子供っぽいだろうかなどと考えてしまう。)

（/わーごめんなさい。うっかりイン出来ずでした！そして一撃のみです。）

（終わったら…という言葉には様子を窺ってくる息子に笑みを向けて。）
いいのか？それでは後の楽しみにしていよう。
（一人で嗜むよりも息子が相伴している方が愉しめるに決まっていて。珈琲に砂糖を入れて飲む様子を目に収め、ひっそりと口元を緩ませた。）

(/気付くの遅れてしまいました。すみません！宜しければ今後ともお相手お願いします。)

−はい、勿論。
(後の楽しみにしようという父の言葉に嬉しそうに笑い、大きく頷いてみせる。父の笑みを見てその声は弾んでいた。そして自分はコーヒーの入ったカップを手に、暫し父と過ごす穏やかな時間を楽しんでいた。)