匿名 2014-01-02 20:02:30 |
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最近、少しだけ過ごしやすくなったことに気が付いて、もうすぐ夏が終わると知った。
あっと言う間だったような。それでいて、とてもとても長かったような。
記憶と呼ぶには不確かで、思い出と呼ぶにはきっと曖昧。けれども、わたしの夏は確かに存在していた。
そう。わたしは事実、あの夏の日の島に居たのだと思う。
しかしながら、今のわたしは何も知らない。もうすぐ夏を終えるというにも関わらず、今年の夏を何も知らないのだ。
例えばそう、あの日出会った人が誰だったのか、とか。
ひと夏で書き上げた作品のきっかけは何で、挿絵の景色が何処なのか、とか。
不思議な事もあるものだ。と、そう思う反面。わたしは未だ、あのうだるような暑さの中に立っているような心地がする。
それならば何も知らないのも頷ける話ではある。あるのだが、今の"夏を終えようとしているわたし"は、一体…?
――――とある作家の手記より抜粋。
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