打ち止め 2013-11-01 18:35:18 |
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(彼女が出て行った扉を見詰め、一方通行は唇を噛んだ。)
(声の震えに気付いた。身体の震えに気付いた。けれど今の自分が口を開けば、さっき以上に醜い言葉が出る事が分かっていた。もしかしたら「殺す」と言っていたかもしれない。例え思わずの言葉だったとしても、彼女を自分が、などと笑えない事を言いたくなかった。言ってしまえば、現実になる気がして、)
(助けて、と言えれば何か変わったのかもしれない。けれど彼は不器用すぎて、力を持ちすぎていた。傷つける事の出来る力を持っていた。)
(言えるわけがない。…言ってしまえば、自分の何か大切な、今まで支えてきたものが崩れ去ってしまう気がした)
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