ヌシ。 2013-10-01 22:49:50 |
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「――だからな、そこはそれじゃなくてこれだろ」
(女生徒の携帯電話を拾ってから数十分。あれから続けて勉強を教えるも…、知駕の集中力が切れてきているのか、問題が難しいのか、最初のペースは見事に崩れていた。ちょうど携帯電話が落ちた後辺りからあたふた、ソワソワと落ち着きがない。異様にこちらを見ることを避けている相手から時計に目を移すともうじきこの時間も終わる。「(…まぁ、もうすぐ終わりだからいいか)」再び教科書に戻った。
―――キーンコーンカーン…
「おい、起きろ。具合はどうだ」
知駕の勉強を少し早めに切り上げ朝一番で保健室へ駆け込んできた生徒に頬を軽く叩いて時間を告げた。パチリと目が開くとその顔はすっきりしているように見えた。念のため額に手を当て熱を確認、本人にも聞いてみると「すっきりした」だ、そうで。その生徒は「じゃ、失礼しましたッ」と嵐のように去っていった。
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