震災について

今思うと……あの時はやっぱり苦しかったな、辛かったなって思う。
俺の家は津波の被害に遭うこともなく、揺れによる損傷も少なかった。
家族や近い親戚で亡くなった人も居ない。
でも津波は家のすぐ近くまで迫ってきていて、近所の人はそうはいかなかったんだ。
近所の人といっても、互いに知り合いというわけでもなかったけれど、
それでも家の近くで多数の死人が出たという噂は、無視できない話題だった。
震災の次の日、５時間以上の道のりを歩いて帰ったあのときの光景も、思い出す。
だから、俺はすごく恵まれてるなって思った。
家があって家族が無事で、一時的に電気が使えなかったとはいえ、
当時避難所にいて現在も仮設住宅にいるような人よりはずっと恵まれているだろうと。

実際、恵まれていると思う、今でも。
でも……でもやっぱり、苦しかった…………。
きっと……あのときだから頑張れたんだと思う………。
ほんとはあのときだって叫びたくて、でも我慢して、今だから…言える…。
二度とあんな思いはしたくない。

だから俺は、できれば東北以外の人にも他人事だとは思ってほしくない。
いや被災地への支援とか、そういうのはいっぱいあるけども、
そういう意味じゃなくて、災害はどこにでも起こり得るっていうこと。
そういう危機感を、みんなにももっていてほしい。