強くなりたい。

普通の子なら、こういう時『ｼﾆたい』って思うんだろうか。私は憎しみのあまり自殺願望なんて微塵も起きなかった。悔しい。負けたくない。ﾎﾞｽｻﾞﾙがいないと皆は優しかった。それがちょっと嫌だと思ったこともあった。そんな態度とるなら何で私の味方してくれないの、って。でも、彼ら全員を味方につけて、ﾎﾞｽｻﾞﾙをﾊﾌﾞにしたところで何になる？そんなのﾎﾞｽｻﾞﾙと一緒じゃない。私はそんな汚いやり口をつかうほど腐ってないし堕ちてもいない。

私の学校は中高一貫だったから、このちっちゃい戦いは長期戦になる予感がした。高校にあがる時に部活を変えることもできたけど、それじゃ完璧に白旗挙げるみたいで気に食わなかった。私が身を引く理由なんてどこにもない。

ﾎﾞｽｻﾞﾙが私に飽きて自分のｸﾗｽの子とかをｲｼﾞﾒてる間、私は必死に勉強した。中学の間は私はﾎﾞｽｻﾞﾙに得意科目でしか勝ててなかったから。

そのうち、ﾎﾞｽｻﾞﾙが他校の男に弄ばれ始めた。人を弄ぶやつも最低だけど、もう腹は立たなかった。私は改めて、ﾎﾞｽｻﾞﾙを心の底から憎んでるんだなーと実感した。私は一度だけ男の子と映画に行った。すごく素敵な1日だったけど、お互い受験に向けてそろそろ本腰入れなきゃねって、受験が終わるまで遊ぶのはやめようって約束した。案の定、ﾎﾞｽｻﾞﾙの成績は下落の一途を辿った。