主 2013-07-27 12:39:52 |
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………
( ――きっと彼は、想像したことすらないだろう。本当、嫌になる。彼はまた今日も遅刻のくせしてスローな足取りでご出勤。のろのろと事務所のドアを開けては、ひらりと手を挙げて笑顔で挨拶なんかしちゃって。上司らしき人物に叱られ反省の素振りを見せるも、そんな姿は真っ赤な嘘。だってあの目は、早く同僚たちとの世間話に花を咲かせたいのかそわそわしている。誰も捕える事の出来ない、自由気ままな存在。嫌になるくらい、私にとっては彼が眩しかった。そう、きっと彼は、想像したことすらないだろう。まさか真向かいのマンションに住んでいる謎の女が、こんな風にベランダから自分の事を見つめているなんて。 )
……はぁ、そろそろ出なきゃ
( ……ほぼ毎朝の日課終了。全く、彼の姿を見届けなければ一日を始める気がしないなんて私も相当、勝手に一人で彼に毒されてしまっているようだ。彼が上司からの説教を食らい終えたのを確認すれば、上記の台詞を述べ私はベランダから出て、ブランド物のバッグを片手に玄関へと向かった。 )
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