主 2013-06-22 18:50:00 |
|
通報 |
(背凭れにしていた扉を叩く大きな音にびくりと体を震わせればその瞬間ばかりは涙も止まり、そのまま床を這って扉から離れ何事かとでも問いたげな疑念の表情でそちらに目をやり。聞けば相手は自分を探しに来た彼らしい、彼が自分を追ってきてくれたのは嬉しかったのかそのままゆっくり立ち上がり一度は扉を開こうかとつっかい棒代わりのほうきに手を掛けたものの、次の相手の一言で動きは固まってしまい。)
ーー…何それ。下らない誤解って何、さっきの告白について?誤解なんてしてないよ、ちゃんと正しく認識してる。そんなことわざわざ言いに来たなら、苛つくから今は教室行ってくんね?
(誤解、彼はそれを解くために此処に来たらしい。その言葉はまるで付き合っている彼女に告白現場を見られた彼が言い訳をしにくるような、そんな情景を彷彿させると同時にその情景と明らかに違うこと、つまりはその彼氏彼女にあたる自分達が同性であるという違和感を際立たせてしまい。異性なら例えまだこちらが返事をしていないにしてもそれなりの言い分をもって一言二言刺して終わりなんてことも出来たかもしれないが自分はどうだろうか、男が女に告白されるのは普通のことだしそれを男の自分がどうこう言える筋合いなんてない。きっと彼はそんな当て付けめいた考えなどなくただ純粋に自分を心配して来てくれたのかもしれないが、卑屈な考えに支配された脳みそにそんな言葉が染み入る訳もなく代わりにただただ何とも言えないような苛立ちと憎々しさと、少しの悲しみが増長されただけで。こんな状態で扉を開けることなど出来るはずもなく苛立ちを露にするように握った拳を扉に一回強く打ち付けると額をこつ、と扉に当てない交ぜになった負の感情から酷く低い声で言葉を返せば先程驚きで止まった涙がまた流れ出すのを頬を伝う感覚で感じて。)
| トピック検索 |