主 2013-06-22 18:50:00 |
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(腕を掴まれ肩を跳ねさせた相手がゆっくりと振り返る。白みを帯びてきた空はカーテン越しに相手の顔を照らし、僅かながら表情が読み取れる程で。しかし目を合わせにくいのか相手の顔は伏せられてしまい。か細く震える声で懸命に弁解しようとする相手、掴んだその腕に無意識に入る力が彼の緊張を伝えて来る。掴んだままの腕を此方に引き寄せれば、そのまま相手を巻き込むようにして背後のソファーに腰を降ろし、同時に相手を思いのまま抱き締めて)
――……何も聞かねぇよ。聞かねぇから……暫くこのままでいさせろ。
(己が寝ていると思ったからこそ掛けた言葉、取った行動、それは中途半端な思いでそうしたわけではない事くらい今までの彼を見ていれば解る。大抵の人間なら関わりたくないだろう己のような人物に女装していたという弱味を握られた上、告白までされ、望んでもいない無理矢理な行為を一方的に何度も与えられては、彼が困惑するのも無理はない。それでも此方の本気に真剣に向き合おうと思い悩む中、今彼に出来る精一杯がきっとそれで。そんな彼の気持ちを思えば咎められる筈などなく、己に溢れるのはただ切なく苦しい程に愛しく焦がれる想いだけで。相手を抱く腕を少しだけきつくすれば、せめて今だけはこうして腕の中の存在を感じていたい事を懇願するように伝えて)
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