主 2013-06-22 18:50:00 |
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(自分の予想通り先程の己の言葉を聞いて彼が振り返ったであろうことを微かに聞こえた布が擦れる音で理解し。小さな足音と共に徐々に近寄ってくる相手、もしかして先程の言葉が相手の気に障ってしまったのではと枕をきつく抱き締めることで身を固くするとそつと頭に触れた手の感触に思わずぴくりと震えてしまい。先程の相手の独り言はリビングから此処へ移動する間に恐らく自分が何か仕出かした故の言葉だったはず、にも関わらず自分へ謝罪をする彼に首を振るように僅かに頭を動かす。そうした後ぎしりと小さく軋むベッドと共に体が僅かに相手のいる方に沈む感覚を感じると愛しさに熱を帯びたような声で呼ばれた自分の名を耳にし。)
ーー…お、やすみ…。
(すごくどきどきした、その一言で全て片付いてしまう程に胸が高鳴った。名前を呼ばれただけなのに、手を握られただけなのに、子供をあやすような優しい口づけを受けただけなのに。相手の行動の全てがまるで自分の胸の中で別の生き物か何かが暴れているんじゃと思うほどに動悸を速め息を短くさせ、どうしようもないほど嬉しい気持ちを掻き立てる。もう足掻きようのないほどに体は彼への好意を主張してくるのに、建前と理性がそれを邪魔する。微かに震える声で挨拶を返し、彼が部屋を出ていった途端に握られていた手をもう片方の手でぎゅっときつく握り。もう知らん顔など出来ないくらいに焦がれる思いに反応してか触れられただけの手は酷く熱く、もうどうしたらいいのか分からなくなってきてしまった感情がそうさせるのか無性に泣きたくなってきてしまい。風邪でもないのに火照って仕方がない顔を枕に埋めじわりと浮かぶ涙さえ無視すると、そのまま早く眠ってしまおうと体を縮こまらせたまま瞳を閉じ再び眠気に身を委ねて。)
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