Sek_Seed 2013-06-18 20:38:36 |
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そんな、シスコンみたいなことを考えながら、ふと時計に目をやる。すると、いつの間にか8時を回っているところだった。
「おっとやべぇ。ほら皆。早く食べないと遅刻するぞ。ほら、花織も」
飲みかけの味噌汁を一気に飲み込む。次いでご飯。行儀は悪いがこの際、そんなことは言ってられない。
「さて、行くとするか」
コップに注いであった水を一気に飲み干し、立あがる。
食器を持って台所まで行き水に軽く浸してもどってみると、美波先輩と咲は準備が出来ているようだった。
「それじゃあ、私は先にいかせてもらうわね。咲さん、ご馳走様でした」
微笑みながらそういうと美波先輩は身を翻(ひるがえ)し、先に行ってしまった。
「咲、俺達も行くぞ?花織も遅れるなよ」
廊下を歩きながらしゃべる。そのまま玄関でお気に入りの靴を履いて外に出た時、花織も玄関まで来ていたらしい。
「ハーイ。気を付けてね、お兄ちゃん。咲お姉ちゃん。いってらっしゃーい」
玄関で手を振る花織に軽く手を振りかえし歩く。
……ていうか……
「咲、さっきから黙ってばかりだけど、なんかあったのか?」
咲の肩に手を置いて聞く。それに反応するように、口を開いて答えた。
「……どこも悪くないよ。ただ……」
「ただ?」
少しだけでも口を開いてくれたことに喜ぶ暇もなく、次の疑問が湧く。
しかし、その答えはとうの昔に誓っているものだった。
「ただ、まーくんが、本当に美波さんの彼氏になっちゃって、遠くに行っちゃうような気がして……」
「……そんなことはないさ」
そう、そんなことは絶対にない。だって―――
「―――俺はハーレムを目指してるんだ。仮に美波先輩が本当に俺の彼女だとしても、咲は俺の大切な幼馴染だ。てか、もう、兄妹のようなものだ。んで、咲も俺のハーレムの一員なんだ。だから、だから……。俺が遠くに行くなんてことは無いんだ。ていうか、寧ろずっとそばにいられるんだから、な?」
何時(いつ)、俺がハーレムなんてものを考え、目指したのか。そんなのはとっくに忘れてしまった。
だが、理由だけは確かに俺の手の中に。そして、胸の中に刻まれ続けている。
そう、俺の周りにいる人は幸せにしてみせる。俺を愛してくれる人ならなおさらだ。馬鹿にされたっていい。でも、俺の周りだけは、絶対にそうする。例え、どんなに厄介なことがあろうとも。
「ほんと……に?」
「ああ、本当だ。だから、安心していいぞ?」
誓った日も忘れてしまった、周りからみたら馬鹿な夢。それを幼馴染(いもうと)に話すというのは、どこか照れくさい。でも、ありのままを話した。その為か、咲も一気に顔を綻ばる。
「うん!じゃあ、ずっとまーくんの側にいられるんだね。良かった~」
先程までとは打って変わって、喜んでいる。それだけでなく、軽くステップすら踏んでいる。そんなにうれしかったのだろうか?
「ほらほら、そんなにはしゃぐと、転んで怪我するぞ?」
「大丈夫だよ~。それより、私先にいってるからね~」
スキップをしながら、咲は先に行ってしまった。
一人残される形になった瞬は、咲の行動に苦笑いしつつも歩き出した。
「よき、友人だな」
低い声が響いた時、一陣の風が強く吹き抜けた。
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