Sek_Seed 2013-06-18 20:38:36 |
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血のように紅く染まる空。
その下に広がるのいは、まるで夢でも見ているかのような、非日常的光景だった。
黒い大きな翼を背にしている男が4人、円を作って立っている。その中心には、夕日の輝きを受け、赤みを帯びていた|黄金《こがね》の髪を携えている少女が立っていた。
加えて、その後方に、少年が一人座りこけていた。
少年と少女は、先程まで二人仲よく遊んでいた。しかし、この4人が現れた途端、全てが壊された。一緒に漕いでいたブランコは跡形もなく壊れ、砂場に有る、小さな砂のお城には、黒の羽が落ち、崩れていた。
全てを破壊され、何もできず、ただ目の前の光景を見る事しか、少年には許されていなかった。
そんな中、一人の男が少女の腕を粗々しく掴み、黒い翼で包んだ。その一瞬。包まれる直前、少年はほかの物はまるで見えなかった。でも、それだけは。電子顕微鏡でを介してみたかのように、鮮明に、見えた。
少女の眼から零れ落ちていく|雫《なみだ》を。
|雫《なみだ》を見た少年は奥歯を強く噛みしめ、動かない体を無理やり起こし上げた。衝動に駆られ起きたわけではない。
ただ。|唯《ただ》守りたかった。
少年は立ち上がるとよろよろとふらつきながら歩み始めた。先程倒れていたところから、男たちまでは精々10メートル前後。その間を少しずつ、可能な限り早く進んでいった。
黒い翼に包まれながらも、少女は必死に抵抗しているようだった。黄金色の髪が何度も、黒い翼の中から覗く。その度に少年の体は、鞭を打たれたかのように、身を震わせていた。
あと5メートルというとこまで進んだ。その時だった。地面に有った黒い羅列を少年は踏んでしまった。
刹那、男が一人、少年に気付く。直後、右手を
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