Sek_Seed 2013-06-18 20:38:36 |
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「み、美波先輩。どこから!?」
「ここからよ。それより今は、下がりなさい。今のあなたは簡単に殺されてしまうわ」
足元を軽く指差しながら話してくる。しかし、状況が呑み込めないが故、自分で聞いたのに、周りを分かろうとする方が先決だった。
「え、え?意味が……。てか、殺されるって、お、俺を狙ってるんですか?
」
目の前では神流が短く溜めて拳を振り切っているところだった。それに対し、女は軽くいなしていた。
そんな、異様な光景を目の前に戸惑いながら質問する。
「そうよ。あなたは|天力《てんりょく》を有しているから。それを見て、殺しに来たのよ」
「て、天力?なんですか、それ?」
目の前の光景もだが、今の話もだいぶ意味が分からず問い返してしまう。それに答えるよりも先に、神流の蹴りと、女の蹴りが交錯する。その余波により校舎が崩れてくる。
それにより落ちてくる瓦礫を、美波が先程見せた白い羅列で次々とはじいているようだった。
「後で、全てを説明するわ。だから今は、逃げなさい」
語気が強まるの感じ、軽く気圧される。しかし、それに後押しされるような形で立ち上がり、走り出した。
☆
「! 逃がさない」
瞬が走り出したのを見て、女が小さく呟く。しかし、追うにも、目の前の物を倒さねばならない。そう判断し、右の拳を構える。
「|強化《ブースト》。……|瞬《あいつ》のとこには、行かせねぇぜ?どうしてもっていうなら、俺を|倒し《ころし》てけ」
強化。これで7度目だった。口にする度、力や|速さ《スピード》が増していっていた。女は厄介なやつだ。胸中でそう呟くと詠唱を始めた。
「ッ!させるかよ!」
唱え始めてすぐに、神流は全力で振りかぶり殴りかかる。そして、触れるかどうか、寸前で女の姿が無くなる。
|空《くう》を殴り、軽く舌打ちをし、上を見上げる。すると、そこには、巨大な魔法陣が雲に囲まれた空に描かれていた。
「―――チェック」
女が小さく|結びの言葉《ラストワード》を口にする。刹那、黒い塊が超範囲にわたって放たれた。校舎には穴が開き、地面は抉られる。草木はボロボロにになっていった。
神流と、南はそれぞれ魔法陣を展開し、防ぐ。しかし、慌てて逃げ惑う瞬は、なす術もなく、正面から食らってしまった。
「グハァ……」
血を吐きながら、地面に倒れていく。それを確認するなり、女は足元に魔法陣を展開し、その姿を完全に消した。
「チッ……そうだ、瞬は!?」
神流は舌打ちをし、思い出したように瞬の元へと走っていく。
近づくにつれ、赤い血が地面に広がっていた。
「これじゃあ、天力まで一緒に流れちまうじゃねぇか……。どうする、美波」
一足遅れて到着した美波、血を出し続ける瞬を見るなり、
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