I like you. -貴方が好き-

あ、ﾊｲ。(2分程経っただろうか。急にｶﾞﾗｶﾞﾗと鳴り響いて開く扉。入って下さいとの声に適当に返事をしておく。ｺﾂｺﾂと鳴る靴音。ｸﾗｽからの視線が痛い。ﾁｮｰｸを持ち『澤峰 諒』と黒板に書き軽く手を払うと振り返り「えｰ、引っ越してきました澤峰 諒です。これから宜しくお願いします」と簡単に自己紹介をすれば、一つの不安が込み上げる。ﾙｯｸｽはそこまで悪くない…いや自分で言うのも何だけど格好いい方だと思う。金だって持ってるし心配はない。運動も勉強もまぁできる。じゃあ何が?分かりきったこと。『友達』だ。この歳になって友達なんて馬鹿馬鹿しいと思うかもしれないが友達は大事だ。お互い利用され、利用する。それは大人になっても変わらない。どうせ俺は親父の会社の跡を継ぐから利用するだけだ。そんな友達は男でも女でも良い。女だったら今の彼女は俺の金目当てだから別れてその新しい女と付き合えば良い。ﾌﾌﾌつくづく俺って悪い奴だな。そんな事を思っていれば先生からの声。席は空いている所をだと。空いている所を探すと一番後ろ。隣に髪がﾁｮｺﾚｰﾄ色の女子が居る。何処かで見たことあるが思い出せない。まぁ、こいつが次の俺のｶﾓになるっていうことは決まったかな。

…澤峰諒…
(/ｺﾂｺﾂと音を立てて入ってくる転校生を見れば何処かで見た事のある顔で。名前を聞けばこれまた聞いた事のある名前で。上記呟き考えていれば転校生の席が自分の隣だと。今はそんな事はどうだっていい、思い出したい.なんて気持ちに圧倒され隣に来た転校生に直球に「 私達何処かで会ったことあります? 」なんて聞いてしまい。待て…待てよ…、これで"知らない"とか"会ったこと無い"なんて言われたら私の勘違いって事になって…其れで…私恥かくじゃん。と頭の中で叫べば「 今の嘘、何でも無いよｰ。羽原美月です、よろしくね。」といつも通りの笑顔で挨拶すれば何事も無かったように外に視線を落として)

え……?(ｶﾀﾝと椅子に座れば隣の人から急に声を掛けられﾏﾇｹな声が出てしまう。答えようと口を開けば相手からの遮る声。名前を言ったみたいで『羽原美月』と言ったな…。美月、美月。聞いたことある名前。見たことのある容姿。あと少しというところで出ない。口を開けば「会った気がする。でも何だか思い出せない。…あ、俺の名前は澤峰 諒。宜しく」と曖昧な返事と名前だけ言えば思い出そうと前を向き、先生の話を聞いているﾌﾘをして

だよね、会ったことありますよね。
(/"会ったことがある気がする"と云う予想外の言葉に一瞬驚くも上記述べて。「 私も何か思い出せない…」と頷けば段々"もういっそのこと初対面って事でいっか"なんて思うももう一度名前を聞き思い出しそうな気がしたのか考えて。「 澤峰諒…澤峰諒…澤峰あ…き…、諒って女の子みたいだね。」と名前数回呟くが最終的に名前が女子に似てると云う事に。見事に話を逸らせば「 諒ちゃんだ、」ともう女の子扱い(←).自分でも分かる。今の自分は相当ウザい。超が2個つくほどウザいと思う。)

なっ、女…!?、しかも諒『ちゃん』って……!!!、(相手の言葉には適当にﾌｰﾝとかと相槌を打っておけば最後の相手の言葉に動揺したのかﾊﾞｯと相手の方を見て前記を叫び。勿論、そんなことすれば先生に怒られる筈だが先生を一睨みすると相手の方に向き直り「美月、美月…。んじゃ、月見だな。」と一言。多分美月と連続で言えば言葉が裏返ることを使ったのであろうが相手も自分のことを女扱いしてきたしと丸めれば先程から“諒ちゃん”という単語に引っ掛かっており。前にも誰かに言われたような気がするが思い出せないと言った状況で

つ…月見…、。…諒ちゃんっ
(/相当動揺しているような相手見ればｸｽｸｽと小さく笑って。笑っていれば"月見"と言われ此方も若干動揺し。まあ確かにずっと美月を連続で言っていれば"月見"になるだろう。でも月見は無くない⁉月見だよ月見!可笑しいよ。なんて思えば相手をｼﾞﾄ見して(←). 結局"諒ちゃんっ"と語尾にまるで音符がついているかのように楽しそうに名前を呼べば「 此れから諒ちゃんって呼ぶから覚えておいてね、諒ちゃん。」と言っているも表情は何処かの優しいお母さんみたいに柔かに、にこりと笑っていて)

いや、全力で善処しとく(相手にこれから『ちゃん』付けで呼ばれるということに驚くも此処はｸｰﾙに行こうと短く言うとﾌｯと笑う、微笑みの方が正しいが微笑むと「んじゃ、これから宜しくな。月見?」と挨拶とわざとらしく“月見”と口元をﾆﾔﾘと上げて言えば、何か走馬灯を見たかのように次々に映像が流れ込んでくる。ﾊﾟｽﾞﾙの1ﾋﾟｰｽ1ﾋﾟｰｽが組合わさるように、遂に完成した。昔の幼馴染みでも顔が、名前が思い出せない。「はあ…」と小さく溜め息を吐けば頬杖をついて眼を閉じると

じゃあ諒ちゃんが嫌なら諒ちゃ。
(/結局名前は"諒ちゃ"に。何処かで聞いた事があるのは気のせいか。いや、気のせいでは無い。国民的アイドルのAK○に"あきちゃ"と云うあだ名の子がいるでは無いか(←).あんな可愛い子のあだ名と同じだなんてこいつはどれだけ幸せ者なのだろうか。そんな事を思っていれば再び"月見"と言われ「 どうも有難う 」とにっこり。こうなったら開き直ってみようじゃないか。)

それだったら、諒ちゃんでお願いします!!!(絶対諒ちゃは嫌だとでも言うように必死になって言えば。別にA○Bの事で言っている訳じゃない。てか知らない。諒ちゃだなんて…秋茶と間違えられる。というか秋茶というお茶はあるのか。そんな事を思えば相手からの開き直ったような言葉。俺は断じて開き直らないからな!?うん。俺たちが話している間にHRは終わっていたようで転校生だからかﾜﾗﾜﾗと人が集まってくる相手の方を向けば「俺は諒だからな?月見」と相手の呼び方を直そうとするも自分は直す気ｻﾗｻﾗ無くﾋﾗﾋﾗとわざとらしく手を振れば猫を被ってｸﾗｽﾒｲﾄからの質問に答えていき、

じゃあ諒ちゃんにしてあげます
(/必死になる相手見ればｸｽｸｽと小さく笑って。上記述べるが何故か上から目線。そして「 うん、分かってる。諒ちゃんでしょ、」とにこりと微笑めば(←)ﾜﾗﾜﾗと集まってくるクラスメートに「 この人のあだ名は諒ちゃんだからね 」と報告して。/ 大体月見ってなんだ、月見って月を眺めて楽しむ事でしょ?もしも名前が"月見"だとしても名前の由来は"月を眺めて楽しんで欲しかったからです"。おかしーだろ(←).てかさ、もっと良いあだ名無かったかな⁉可愛いあだ名とか。諒ちゃんは可愛いのに何故月見⁉可愛い⁉、そんな事を頭の中で叫んでいて。)

癪に触るけどｰ…、諒ちゃよりかはﾏｼだからお願いします。(ふつふつと文句を言った末に結局これで相手に機嫌損ねられたらまた振りだしでは無いか、と気付き何故か敬語で承諾して。相手が勝手にｸﾗｽﾒｰﾄにあだ名を言われては焦って訂正しようと手を出そうとするも相手が楽しそうなのでそのまま手を後ろにやり頭につけると『まぁ、いっか』なんて思って。/適当に質問に答えていくと、因みに一番多い質問は“何処から来たの？”だ。答えは勿論愛知かr……ｹﾞﾌﾝｹﾞﾌﾝ、ｲｷﾞﾘｽからと言っている。ｲｷﾞﾘｽ英語は得意だしな←、そうしていると一人の女子が手を上げ“校内案内しようか？”なんて。何となく迷って誤魔化そうか、いやでも女子だし…と困り。

"諒ちゃ"も"諒ちゃん"も可愛いけどなあｰ?
(/諒ちゃは嫌だと言う相手にうーん、と首傾げれば上記呟けば。上記呟くもやはり可愛い基準であだ名を決めていて。イギリスから来たんだｰ、なんて思えば相手二度見して「 ぇええ、イギリス⁉ 」と叫んでしまい。あ、すいませｰん。なんて苦笑い混じりに笑えば居づらくなったのか、何なのかよく分からないが「 …黒板消して来ます 」と小さく呟けば黒板の方へ歩き出し。黒板を消すとか言いながら途中で友達に呼ばれて友達の方へ行けば速攻長話始めて(←)。黒板消すんじゃなかったのかよ、とでも言いたい気分だがこれじゃまるで"一人ツッコミ"になってしまう。やめようやめよう。「 転校生の諒ちゃんね、イギリスから来たんだって。金持ちかな? 」なんてドアの方で話して。何故イギリスから来た、と云うのだけで金持ちだと分かるのかは知らないが恐らくこの女は勘が鋭いんだろう。長話が終われば思い出したように黒板の方へ行けば消し始めて。)

んじゃ、月見も美月も同じだな?
(そろそろ言われてるばかりじゃ駄目だ、言い返そうと言葉を選び言えばいきなり相手に叫ばれた事で視線が一気に相手に集まり小さく溜め息を吐けば相手が消えるというので小さく手をﾋﾗﾋﾗと振ればまた猫を被って「じゃあ校内案内は…、」と言った時に声が詰まる。先程まではこの女子にしてもらおうかと思っていたのだが、「俺は、俺は…」と自問を繰り返す。が一向に答えは出ないまま。自分でも体が震えてきていることが分かる。一つ息を飲み込めば「やっぱり、校内は自分で見てきます、もし分からなくなったらお願いします」と笑顔を浮かべて、全くこの仮面はいつになったら外れるのだろうか。席から外れると女子の声。諒ちゃんと呼んでいるから俺のことか…、ん？諒ちゃん？え？と先程相手に紹介されたのを思い出し黒板を消している相手の肩を掴むとﾄﾞｽ黒い笑みで親指を女子の方に向けてｸｲｯと合図をし)

いや。月見は可愛くないでしょ。
(/可愛いのが良いと言わんばかりの顔をしながら上記述べれば黒板を消していて。構内は自分で見て来ますと断っているのが聞こえたのか、構内案内してもらえば良いのになあ、なんて思いながら。「 てか諒ちゃん猫かぶり過ぎでしょ。」なんて聞こえるか聞こえないかくらいの声で小さく呟けば。黒板を消し始めて少し経った時、肩に手の感触が。そして後ろを振り向けばﾄﾞｽ黒い笑みをした諒ちゃん(←)が居て。怖!!!!!とでも言うかのように顔が青白くなっていけば「 え、何かな…、諒ちゃん。」と首傾げて。こんな時まで諒ちゃんと呼ぶ人、それが美月だ。←⁉ )

ほら、兎と遊べるしｨ？
(諒の方程式を説明しよう!!、諒の中では兎=可愛いなんだよ!!因みに兎は寂しいと死んじゃうんだよ!とでも流れそうな声を後にすればﾆｺﾘと微笑んで。あ、あと一応言っておこう。2番目に多い質問はｲｷﾞﾘｽに友達は？友達の名前は？だ。他人のことなんか知って何が面白いのか。答えは勿論「ｲﾙという友達が居たよ」だ。こんな人物居るのか、少なくとも俺の友達にｲﾙは居ない。居たとしたら太郎だ←。どんどんと顔が青白くなっていく相手に罪悪感のひとつも見せずに笑いながら「本当に諒ちゃんが浸透しているんですｹﾄﾞ…?」と自分には似合わない首を曲げるという行為をして)

…、つまり私の事可愛いって事か!
(/ひらめいたように手をﾎﾟﾝと叩けば上記述べて。上記述べて数秒後「 さっきのは冗談で言いました…。」と俯いて。恐らく自分で言って恥ずかしかったか、自分で言って後悔したんだろう。そして前記言えば黒板を消し終えて。「 諒ちゃんがそんなに嫌ならちゃｰんと澤峰くんって呼びますから安心してね。」なんてにっこり笑えば。そういえばイギリスから来たって言ってたけどｰ…イギリスかあ、イギリスねえ…イギリス…、と考えては「 諒ちゃんってもしかしてイギリス人? 」なんて聞いて。もしかしたらと云う可能性を信じて聞いているのだがもしイギリス人とか言われたら何か困る。困りそうな気がする。何故だろ、何故だろうね。←)

え？解せぬ。
(何故にそれだけで可愛いになるのか、少し冷たく言うと返ってくる言葉自分で言っては落ち込んだり一体何なのだろう。「じゃ、最初からそれにしてくれよ…」と机に座りながら頭をﾊﾟｻﾊﾟｻと掻くといきなりの相手の問いに驚くもひとつ咳をして「んな、そんな訳ねーじゃん。思いっきり日本人顔だろ」と否定してから言葉に合わせるように指で顔を指して「な？」と聞いてみたりすれば。

じゃあ澤峰くんって言います。
(/こくりと頷けば笑って。恐らくさっきの可愛いやら何やらの話は別の話に逸らしたんだろう。←、「 其れにしても。澤峰くんはモテモテですね。良かったね 」なんて若干ニヤつきながら言えば数秒相手の顔見て「 あｰうん。日本人だね。」と頷いて。そもそも何で日本人がイギリスに?なんて思っていれば " なんでイギリスに居たの? "とつい口が滑って聞いてしまい。まあ…良っか、とそのまま訪ねては首傾げて )

んじゃ、俺は月見で通すわ
(若干不公平かななんて思うも直ぐにま、いっか的などうでもいい部類に入りそのままで通すと「当たりm…じゃなくてありがとう。」と思わず本音が出そうになるもｷﾞﾘｷﾞﾘで止めると思ってもいないことを口に出して、多分俺のこと好きになる人は、猫被っていることを知らないからだろうな。とか思ったりすると見られ目を細めると「あ”？」とつい喧嘩腰の言葉が出て周りを見るも誰も聞いていないようでまた営業ｽﾏｲﾙを再開すると「りゅ、留学だよ!!」と適当に言ってみせて←)

そこは羽原さんとか羽原とか美月、とかでお願いします。
(/にっこり笑えば即答で返して。己は直したのに直さないなんて不公平!なんて思いながら。「 でもさｰ、モテる人ってあまり信用出来ないよね。モテる人の大体は性格悪かったり猫被ったりしてそうだしｰ 」にへらと笑いながら言えばモテている女子や男子を見て。「 留学?凄いねｰ。また今度イギリスの事教えてね 」とあっさり信じればにこと笑って。)