K 2013-02-23 00:49:15 |
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今日はいつもより早めに登校している。
なぜなら、テストが今日から始まるから。
魔の一週間の幕開けである。
学校に到着して校舎に入り南側の階段を昇って行けば誰かの話し声が聞こえた。
男の子の声…?とか思いつつも聞き覚えのある声に首傾げつつ足を進めれば、先輩がいた。
階段の踊り場の壁に少しもたれては携帯を耳に当てていた。
私と目が合えば微笑みかけて、口パクで
「ちょっと待って」と言われ、了解の意味で一度頷いてみせ。
そして誰と話してるんだろ、とか考えていれば「あぁ、じゃぁな美歩。」と愛しそうに美歩という女の子の名前を呼んでは電話を切る先輩。
美歩、って先輩の彼女?…なんて少し肩を落としてしまっている自分がいた。
「おはよ、鈴ちゃん。」と私に笑いかけては、絵って…と言いかけた先輩に慌てて鞄から絵を取り出して「お返ししますっ」と言っては相手に手渡した。
私の勢いに少し驚きながらも「ありがとう、これで美歩に怒られずに済むよ。」と絵を鞄にしまいながら、そう続けた先輩。
「妹さんだったんだ。」と思わず安堵しては口にしてしまった言葉にハッとなる。
当の本人は「ん、なに?」と聞き取れて居ない様子で。
「本人ありがとね、助かりました。」と笑顔でもう一度お礼を言われれば、「いぇ。」と控え目に答えては「それじゃぁ」教室行きますね、と付け足してはそのまま立ち去ろうとすれば先輩に手を握られそれは阻まれた。
えっ?、と思わず間抜けな声を出せば先輩も「ご、ごめん」と気まずそうに手離しては次の言葉を探しているようで暫く黙っていると「テスト終わったら、お礼させて。」と少し赤くなった先輩に「ダメかな?」と首を傾げられて断れる女子なんてこの世にいるのだろうか、と内心思いつつ「そんな悪いですよ…」と一応断りをいれる。
だけど先輩は「俺がお礼したいから」の一点張り。
「分かりました。」と此方が折れれば相手は笑顔になって、またメールする。と言い残しては急いだように立ち去っていった。
そして、この一週間のテストがボロボロだったのは言うまでもない。
その理由はもちろん先輩との約束に浮かれていたからである。
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