K 2013-02-23 00:49:15 |
通報 |
<恋の理2>
あの先輩に本を貸し出してから今日でちょうど一週間になる。
私は毎週火曜日の担当で他にも2人委員の子はいるがいつも先に帰って貰っている。
2人とも色々と事情があるから。
だから、最後まで残っているのは私1人だけ。終了時間が差し迫っているというのに、あの先輩は一向に来る気配が無い。
もしかしてもう違う曜日に返してしまったのかなー、なんて思いながら星の王子さまが置いてあった本棚に足を進め確認する。
返却されてる…少し残念に思いながらも手にとり先週の続きから読もうとページをパラパラと捲った。
パサッ………
誰もいない静かな図書室に静かに一枚の紙が落ちた。
ゆっくりとかがんで落ちた2つ折りのメモを拾いあげる。
そこには、星の王子さまであろう絵が描かれていた。
その絵は多分あの先輩が書いたものでは無いのだろう。
私たち高校生が書いたものではなく、もっと幼い子が書いた物。
クレヨンでカラフルに大きく描かれた王子さま。ちぐはぐでおかしな絵だけど凄く懐かしいと思った。
私も幼い頃は王子さまの絵を良く書いてたなー、と。
昔を思い出していると最終下校を知らせるチャイムが聞こえた。
慌てて本を元の位置にもどし、絵は綺麗に折ってブレザーのポケットにしまった。
鍵を閉め、職員室に返してから帰路についた。
トピック検索 |