日向 2011-12-28 17:49:23 |
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__opening.
パラパラと、春の暖かな風が卓上のプリントをめくる。
あっけなく散らばる数枚のプリント。
あんな紙っきれに私の一年の運命が記載されていると思うと、無性に泣きたくなった。
先生は特に慌てた様子もなくノロノロとのっぺりしたお腹の肉を揺らしながらしゃがみ、プリントを拾う。
その光景がまた焦れったい。
周りの子たちのきゃあきゃあ騒ぐ声が今は有り難い。
緊張してるのが私だけじゃないって教えてくれてるみたいで安心する。
“は~ぃ、静かに~”
そんな私の気持ちを知ってか知らずか…
無情にも先生の一言でみんなが静まった。
…………ついに、来る。
私の心臓はいつもよりどれだけスピーディーに働いているんだろう。
周りにまで聞こえてそうで、怖いよ。
私は一年間お世話になった教室をぐるりと見回し、昨年度の担任の先生の顔をキッと見据えた。
“私の、新しい居場所が決まる。”
そう思うとさらに鼓動が早くなった(……気がする)。
私は前から送られてきた、プリントをガチガチの動作で受け取り……
……固く閉じた目をそっと開いた。
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