トピ主 2024-07-26 06:44:45 |
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>1523
確かに……ふふ、俺に弱気は似合いませんね。それでは謹んでお受け……
(アリシアの励ましに、ふっと微笑んで。そうだ、実績などこの機会を利用してこれから作ればいい。何よりも、こうしてアリシアが側に控える者として相応しいと認めてくれているのだ。思い直すとしゃきっとした表情で参列を受諾するのだが、どういうわけかアリシアが妙にソワソワしている……その理由を察して渡された手錠に視線をやると次々と妄想が沸いてきて「あっ、あわわ……」と声を漏らしながら赤面しだして。男としてこれは断れないのでこちらも引き受けることにしたのだが、さっきとは打って変わってアリシアから目を逸らしながら、ごにょごにょと喋って。)
あっ、あの、こっちの方はその、わきまえておりますからご安心を……
>1526
ええ、楽しみにしていますね…
(2つの件で前向きな返事を受けたアリシアは、ホッと胸を撫で下ろすと、頬を赤くしたまま「楽しみにしている」旨を伝えて。特に今晩のことを意識すると身体が火照ってしまう為か、レドのように怪我の治療をする訳でもないのに上着を脱ぎ捨てて、ラフなワイシャツ姿となる。)
こほん、ではもう一つ。今日の午後の予定ですが、レド殿には王国騎士団のセシル教官の元で訓練の見学を行っていただきます。人を教え導くにあたって何が大切なのか、それを学んで来てください。
人当たりの良い方なので、レド殿ならばすぐに打ち解けられることでしょう。
(幾分涼しくなった事で調子を取り戻したアリシアは、咳払いをしてもう一つの話を切り出した。内容は午後の予定についてであり、指南役として物を教える前の研修と言ったところである。本来はそのようなカリキュラムはないのだが、年齢的に指導経験がないであろうレドに対するアリシアの配慮だ。王国騎士団の剣術指南役を筆頭に、城内には様々な指導者がいる訳だが、その中でもセシルに今回の話を打診したのはその人柄故であり、組織として横の繋がりもなく、絶賛腫れ物扱い中の近衛隊からの要請を引き受けた時点で、アリシアの言う「人当たりの良い」人物像を裏付けていた。)
>1527
……っ!
(おもむろに上着を脱ぎ出したアリシアに目が行くと思わず身体をビクッとさせて。なめらかな白い肌を引き立てるワイシャツ姿、厳格な軍装とのギャップがレドの心を乱す。拳を握りしめ、目をギュッとつぶって煩悩を追い払おうとするが、今度は解き放たれた芳香がレドの鼻をくすぐる。プルプル震えながら耐えていたが、「王国騎士団」という言葉を聞くなり急に顔の紅潮が引いて、震えも止まった。)
王国騎士団…………いや、失礼しました。セシル教官、良い方とお見受けします。彼女の下で研鑚に努めましょう。
(「王国騎士団」、そう呟きながら眉間に皺を寄せて。異変を知っていたはずなのに派閥を優先してアリシアを助けなかった連中に、いったい何を教われと言うのか。聞いた直後はあまり快く思わなかったが、アリシアの「人当たりの良い方」という評価を聞くと首を振って態度を改める。彼女が信頼する人物なのだ、王国騎士団と十把一絡げにして決めつけるのは良くない。セシルから教えを受ける話も、微笑みと共に引き受けて。)
>1528
ふふ、良い返事を聞けて何よりです。
それではレド殿もお疲れでしょうし、一度お部屋に戻って休憩を取ってください。そろそろあの猫にもエ…こほん、ご飯を与えないと拗ねてしまうかもしれませんから。
(レドの意気込みを聞いて、アリシアは満足気に微笑んだ。これにてアリシアから伝えるべきことは全て話終えて、午後までの空いた時間で休憩を取るように促す。朝から教会に駆り出され、帰ってきた傍から荒事に巻き込まれたレドへの気遣いが主だが、昨日のレドとの食事を最後に何も口に出来ていないであろうエリーゼの存在も理由の一端である。彼女のことに触れる際、明らかに「エサ」と言いかけるが、亜人排斥思考を持たないレドの手前わざわざ「ご飯」と丁寧に言い直した。)
>1529
猫……?ああ、第二団長殿ですか。私も昼食を取ってまいりましょう……これも着替えないといけませんし。
(猫、第二団長エリーゼの世話のために退室を促されると、残念そうに溜息を吐いて立ち上がり、脱いだシャツや革鎧、ケープを纏い直して。レド自身は亜人排斥主義者では無いが、なんだか恋人から離れてペットの世話をしに行く気分になってくる……アリシアから離れるのが残念なのか、服を着直す姿はノソノソしている。)
アリシア様、では失礼いたします。
(名残惜しいが、自分も食事と損傷した服の着替えをしなきゃならない。退室の前に、静かに一礼して。)
>1530
ええ、お疲れ様でした。
ではまた夜に…
(一言労いの言葉をかけて見送りとしようとした所で、レドの仕草などから、自分と離れたくないであろう本心が透けて見えた。そんな姿を愛おしく思い口角を吊り上げると、今しがた回復したばかりの足で立ち上がって、退室寸前のレドの前まで歩み寄る。そのまま彼の手を優しく握って誘導し、自分の胸に宛てがわせると「ではまた夜に…」と、悪戯な笑みを浮かべながら、別れの言葉をかけた。)
>1531
(退室間際、アリシアが近づいてくるのをきょとんと見つめていると、いつの間にか手を柔らかく握られ、そして……彼女特有の温かくて柔らかい感触が掌の中に伝わってきた。今自分が触れたものと、アリシアの妖艶な微笑み……それらが視線に入るとレドの顔が新米騎士のようにオロオロし出して、顔も真っ赤になって。)
あああアリシア様……いけませんっ!
(アリシアの胸から手を離すが、その掌をつい呆然と見つめてしまう。はっと我に返ると慌てて一礼し、脱兎のごとく退室して。レドが焦ってバタン!と勢い良く閉めたドアの向こうから、彼がバタバタとせわしなく走り去る足音が響く……)
>1532
少々悪戯が過ぎてしまいましたね…
ふふ、でもそんな所も可愛らしいです。
(遠ざかる足音を聞きながら、アリシアは自らの頬を軽くかいて、揶揄い過ぎたことへの反省を漏らす。ただ、レドの照れた表情に慌てよう、それを思い出すだけでどうにも愛おしさが溢れてきて、頬が緩むのを抑えきれない。意地悪な自覚を持ちつつも、愛がある限りきっとこれからもアリシアによる無邪気な悪戯は続くことであろう。)
うにゃー…レドくん助けてにゃー…お腹すいたにゃー…
(一方その頃レドの部屋では、布団で簀巻きにされ、床に転がされた状態のエリーゼが虚ろな表情で助けを求めていた。満身創痍故に声量こそ大きくはないものの、エリーゼのよく響く高い声質から、部屋の前まで来れば中から「にゃーにゃー」聞こえることであろう。
何故こんな状態なのかといえば、今朝方近衛隊庁舎に到着したリュシエルと廊下でばったり遭遇したことが切っ掛けである。リュシエル自身は亜人に差別感情を持っていない為スルーしたのだが、エリーゼの方はそうもいかなかった。相手の力量を見抜くなり、潜在的脅威と見倣して斬りかかり、結果はご覧の有り様である。自業自得なのだが、身動きも取れないまま、猫なのに死んだ魚の目で助けを求めるほかになかった。)
>1533
ああもうアリシア……ここまで来て一線を越えられないなんて、名家ってなんて面倒なん……
(アリシアの悪戯に慌てるあまり、庁舎の厳粛性も弁えずにドタバタ廊下を駆け抜ける。が、教皇の肖像画に気付くなり急に立ち止まって、向かいのドアへと引き返す。レドが内心「富くじに当たったパン屋」と評している一見柔和な姿の教皇・グレゴリアスの肖像画は、この部屋に滞在する獣人エリーゼへの嫌がらせであり、彼女と同室するレドの居室の目印なのだ。しかしレドはすぐ入室せず、ドアの前でアリシアの胸の感触が残る掌を見つめながら惚気ている……)
…………
(だが部屋に入ろうとした途端異変を察知して、あたふたしていた顔が急に引き締まる。猫……否、エリーゼの悲鳴らしき声を聞き取ったのだ。音を立てることなく刀を抜くと、ドアに勢いよくぶつかって部屋へ突入する!)
ね、猫の簀巻き!?どうしたんですエリーゼどの!?
(部屋に突入するなり、ある意味敵以上に驚くものを見てしまい、刀を出にしたまま声を上げて。猫の餌の脇で飢え死にしかけていたり、帝国兵とじゃれ合っていたりと、エリーゼがまともな形で部屋で待っていた姿は未だ目にしていないが、今回は今まで以上にひどい姿だ。状況が理解できず唖然とするばかりで、エリーゼを助ける行動に移れない。)
>1534
うにゃ…!?レドくん、待ってたのにゃ!
これはその……今朝、エルちゃんに食べ物を分けてもらおうと思って廊下に出たら、青髪のヤバそうな奴に出くわしたのにゃ。先手必勝で斬りかかったら、気付いたらこの状態で……でも、生きてるってことは多分向こうに敵意はなかったと思うにゃ。ご飯を食べたらちゃんと謝ろうと思っているのにゃけど、一先ずこれを解いてほしいにゃ。
(レドの姿を視認するなり希望を見出したエリーゼは瞳を輝かせたが、経緯を聞かれると申し訳なさそうに瞳を伏せて、包み隠さず全てを語る。
昨夜からレドが部屋に戻らなかったことで空腹に耐えかねたエリーゼは、すっかり友達となったエルフリーデに食べ物を融通して貰おうと部屋を出たところでリュシエルと遭遇してしまう。獣人はその名の通り、獣の特性を併せ持つ人間である為、時に本能に抗えない場合があるのだが、今回はリュシエルを脅威と認識したあまり、防衛本能からエリーゼの方から攻撃を仕掛けたようだ。結果は見ての通りで、気を失ったエリーゼは目を覚ますなりこの格好だったらしい。殺す気で襲いかかったにも関わらず目立った外傷もなく、子供に対する説教のように簀巻きにされる程度で済んだことからも、相当に手心を加えられていることは明らかで、エリーゼ自身も敵意のない相手に無礼を働いたことは反省している様子であった。)
>1535
青髪!?そりゃヤバいなんてもんじゃない、リュシエルっていう教皇の親衛隊だ。大陸随一の腕前で、クレアさんを素手で叩きのめしたとか。それこそ獣人が挑んだら四肢が吹き飛ぶ相手ですよ。こうやって……
あれ、でも無事だなぁ。彼女は聖教の教えに馴染んでいないのか?でも教皇の側近なんだよなぁ、一体なんなんだ?リュシエル・アークライトとかは……
(エリーゼから事情を聞くと刀を納め、呆れ果てた顔で彼女が挑みかかった相手の正体を説明して。憧れのクレア・ライデンを素手で倒した噂こそレドは信じていないが、大司教を一瞬で気絶させ、さらに第二団長のエリーゼを子供扱いするからには恐るべき使い手と認めざるを得ない。それこそエリーゼのような獣人が対面したら一瞬で四肢切断されて芋虫に……なってない、いや芋虫みたいな有り様になっているが大事は無さそうな事に気が付くと、顎に手をやりながら考え込んで。どうやらレイラ(ねえさん)と同様聖教の教えには染まっておらず、それどころか無用な争い自体を好まないらしい。そのような人間がなぜ教皇の親衛隊など務めているのか?そもそも何歳なんだ?リュシエルの謎は深まるばかり……ブツブツブツブツ呟きながら考え込んで、何か忘れているようだ。)
……あ、忘れてた……っと。まったく、運が良かったですねエリーゼ殿。ひとまず今日も食堂へ行きましょうか。今度は見境なく人を襲っちゃダメですよ。
(しばらく呟き続けたところでようやくエリーゼの拘束を解くことを思い出し、ついでとばかりにモゾモゾと手を動かし、彼女を縛り上げる布団を解いて。謎多き護衛・リュシエル。エリーゼもとんだ相手に挑みかかったものだと呆れつつ、腰に手を当てながら食堂へ行こうと提案して。)
>1536
バ、バケモンにゃ…!気分次第で今日が命日になってたかもしれないにゃんね…
レドくんの言う通り、今度からは気を付けるにゃ。
(リュシエルの素性を聞くとエリーゼは驚愕のあまり目を見開いた。クレアを倒したという技量、それ程の規格外の使い手が隣国に存在していたという事実に。剣に心得がある者でリュシエルの噂を知らない者など普通は居ないのだが、一般の騎士家系から突然変異の如き才能で取り立てられたエリーゼの場合は事情が異なる。勿論、名前くらいは知っていたものの、とくべつ剣に関心がある訳でもなければ、その手のゴシップなど尚のこと興味を向けてこなかった為だ。今しがた知った化け物の存在と、それに挑んで五体満足でいられた幸運には、布団から解放されて立ち上がった彼女も思わず安堵から胸を撫で下ろす。そして、戒めとして反省の言葉を口にすると、提案に従って待ちに待った食堂へと歩みを進めた。)
うにゃー…今日は賑やかにゃんね。
(レドにとっては朝からトラブル続きだった反動か、特に障壁もなく、エリーゼが終始「にゃーにゃー」と他愛のない世間話を振る以外、食堂までの道のりは驚くほど静かであった。
一方で、食堂へと一歩足を踏み入れると、先程までの静寂が嘘のように中は色めきだっている。その理由は明らかで、食堂の隅では、公国近衛師団の所属を示す黒い軍服に身を包んだ5人組のエルフが腰掛けており、リーダー格と思われる寡黙な金髪エルフを除いて和気藹々と食事を取っていたのだ。多種族共生国家である王国に於いてもエルフは希少種。ましてや純血エルフなどお目にかかれる機会はそう多くない。それが5人も揃い、漏れなく全員が美人なのだから若い騎士達の視線を集めるのも必然と言える。道中の静けさも、若い騎士達がこの光景を目に焼き付けようと、食事を終えても尚食堂から出ないことが主要因だ。そんな光景を見て、エリーゼも呆れ半分に「賑やかにゃんね」と感想を漏らす。)
>1537
あーあ、剣士とあろう者が鼻の下伸ばしちゃって。なんて軟弱なんだ。あの糸目野郎みたいなのがそんなにいいのかね……さあ、お腹すいたでしょう。早いとこメシにしましょ、エリーゼ殿。
(食堂に入ると、妙に浮ついた空気を感じ取って眉間にシワを寄せる。その発生源、他国のと思わしき軍服を纏ったエルフの女性たちと、それに見惚れて長居する騎士たちに辟易して、頭をかいて。今朝のウェルディやアリシアへの態度からしてレドも人の事は言えないのだが……そもそもレドの場合、見目麗しいエルフを見ると因縁の副団長を想起させるので面白くない。エリーゼの肩を叩くと、彼女たちに構わないで早く食事を済ませようと提案して。)
>1538
そうにゃんね~。何を食べようかにゃ。
(エリーゼも同様の感想を抱いたのか、エルフに対するレドの評価にうんうんと頷くと、空いている席に腰掛けて。少し離れた位置に控えていたシェイドに目配せして注文を取りに来させる。相変わらずの視線と口パクで幾つかの情報交換をした後に、卓上のメニュー表と睨めっこしながら何を頼もうかと首を傾げていると、件のエルフ達の周辺に動きがあった。)
ようこそ、親愛なる公国の兵士諸君!どうか、この私めに麗しい貴女方と食事を共にする権利を与えてくださらないか?
Thal na, norukh vaelun.
Sae vorran ulmir shien, elarin selith naesh dorun.
(いかにもキザな風貌と言い回しの若い騎士。自信に溢れた様子からも、それなりの家の出身であろう事が窺える。常識に照らし合わせれば、食堂で堂々とナンパをするのも如何なものかと思われるが、振る舞いも言葉選びも、友好国としての確かな敬意を持ったものであった。対するエルフ達は困惑した様子でヒソヒソと内緒話をしたかと思えば、一人の茶髪エルフが前に出て、先程まで普通に共通言語で話していたにも関わらず古代エルフ語で応対した。少し意地悪な返しに見えるが、一見すると、エルフの表情は眉尻を下げて、声のトーンも優しいことから、やんわりと断っただけなように映る。若い騎士も、言葉の意味を分からないまでも意図を察するなり、肩を落としてその場を去っていった。その姿を見たエルフ達、正確には我関せずの金髪エルフ以外はクスクスと笑っていたものの、それだけで終わる筈だったのだが…偶々この場には言葉の意味を理解し、内心腸を煮え繰り返している者がいたのだ。)
「寄るな、下等生物風情が。お前の獣のような唸り声を聞いていると、私の高貴な耳が腐り落ちる。」だとさ、食事を断るにしても随分と露悪的な言い回しだよね。間違ってもアイツらを仲間だとは思わないことだよ、少年。公国なんてものは、エルフに形を変えた聖教国みたいなものだ。
(レドの背後からひょっこり顔を出したのは、今まさしく彼が意識していた存在。副団長ことエリスであった。手には昨日と同じく、カトリーナのための昼食が用意されたバスケットを持っており、今はその帰りのようである。先程の茶髪エルフの言葉をご丁寧に翻訳してレドに伝えると、ルード公国を信用するなと忠告を交えて。一見するといつもの飄々とした態度だが、手に持つバスケットの取っ手はミシミシと音を立てており、珍しく感情を露わにしている。興味がなさそうに見えて、意外にも身内の騎士が不当な扱いを受けたことが癪に障ったようだ。)
>1539
あ?なんだあいつら…………ぎゃっ!出た!!!
(エリーゼに合わせて着席しようとしたところに、騎士とエルフたちのやりとりが始まった。最初はキザな騎士に苦笑いしていたが、エルフの応対を見て顔をしかめる。彼女たちが何を言っているのかは理解できない。が、肩を落として去る騎士の後ろ姿を笑うエルフたちの態度と雰囲気で察することはできた。連中は、騎士本人に分からない形で彼を侮辱したのだと。
そこへ背後から今口にした糸目野郎……エリスに声を掛けられ、幽霊にでも出くわしたかのような情けない声を上げて。こうも噂をした途端に出てくるとは……またしても不覚を取った恥ずかしさで顔を赤くして、エルフたち、否、ルード公国兵を貶すエリスに「お前も同類だろ!」とでも言い返そうとした。だがバスケットを持つ彼女の手が義憤で震えるのを目にすると、ムキになって歪んでいた顔が急に大人しくなる。エリスの意外な一面を見たレドは静かに息を吐くと、彼女を流し目で睨みながら口を開いて。)
わかってる……あんな陰険な連中だったとはな。エルフの女性は優しくて面倒見がいいと思ってたのに……あんたの事じゃないからな。
(淡々とした口調と表情で、エリスの発言に同調して。レドにとっても公国兵の振る舞いは不愉快で、優しくて面倒見がいいというエルフの女性へのイメージが覆ってしまった。エリスに対して案外素直なのは、不本意ながら意見の一致を見たからだろう。それでもエリスを「優しくて面倒見がいいエルフ」と認める気は毛頭なさそうだ。)
>1540
おやおや、随分な驚きようだね。私ほど優しくて面倒見のいいエルフなんてそう居ないだろうに、そんな反応をされると傷付くよ。
さて、育ちの悪い田舎エルフ達に、面倒見のいい私が先進国のマナーを教えてあげないとね。
えぇ…!?それは不味いにゃ!外交問題にゃ!
(幽霊に出くわしたかのような驚きように加えて、レドの持っていたエルフの女性像に自分は当てはまらないと告げられると、その反抗的な態度が可愛らしく映ったのか頬を緩めて、冗談めかした態度で肩を落としてみせた。しかし、そんな小芝居も束の間に、鋭い眼差しを公国兵に向けたエリスは、荷物は任せたとばかりに手に持ったバスケットをレド達の席に置くと、エリーゼの制止も聞かずにスタスタと件の公国兵達の元へ歩みを進めた。)
ねぇ、君たち。食事を断るにしても、さっきのはないんじゃないかな。無礼を働いている自覚があったから人間の分からない言語で誤魔化したんだよね?今ならまだ許してあげるからさ、謝ってよ。
「うげ、エリスだー…」「面倒なのが来たよぉ」「逃げろー」「助けて副師団長ぉ」
(公国の一団の元に到達するなり、エリスは圧のある微笑みを浮かべなら、侮辱を行った公国兵達を詰めて謝罪を迫った。「今ならまだ許す」と言うあたり明らかな最後通告なのだが、対する公国兵達は反省するどころか露骨に顔を顰め、揶揄い交じりにぞろぞろと席を立ち、副師団長クラリスの背後に身を隠してしまう。歳だけ重ねて情緒が成長していないのだろう、反応が完全に悪ガキのそれである。盾にされたクラリスは相変わらずの我関せずな態度で、黙々と目の前のステーキを食していたのだが、苛立ったエリスがテーブルをバンと叩いたことで、気怠げにやっと顔を上げた。)
彼には意味が伝わっていないのでしょう?それならべつにいいではありませんか。時には知らない方が幸せなこともありますよ。
いいわけないでしょ。私は、ここにいる皆を小さい頃から知ってる。よちよち歩きから一人前になる様をずっと見てきたんだ。多少の、親心みたいな情も湧いてくるんだよ。可愛い子供を…非人間扱いされて黙っていられるわけないよね。
エリス、それは貴女の私情です。外交問題にするほどでは――
表に出ろ、クラリス。言って分からないなら身体に教えるまでだよ。
………いいでしょう。売られた喧嘩から逃げるほど臆病者ではありませんので。
(公国兵達の監督義務を果たさせるべく、エリスは矛先をクラリスへと向けた。しかし、どれだけ想いと言葉を重ねようとも事なかれ主義を貫こうとするクラリスに、遂に我慢の限界を迎えたエリスは最終手段に打って出る。
騎士が常に携行している儀礼用の白手袋。それをポケットから取り出したかと思えば、クラリスの胸に投げつけたのだ。それが意味することはこの場の誰もが理解していることだろう。クラリスが白手袋を握り締め、苛立ちに眉間に皺を寄せながらも決闘を承諾すると、食堂内からは驚愕、悲鳴、歓声――様々な感情の声が上がる。王国騎士団の副団長と、公国近衛師団の副師団長、組織は違えど立場を同じくする者同士の対戦カードに、食堂中の熱い視線が注がれていた。)
不味いにゃ…!不味いにゃぁ…!団長を呼ばないと収拾付かないにゃ…でも、今の私は一人で出歩けにゃいし…レドくん、どうしたらいいにゃ!
(一方でエリーゼには注文を考える様子は既になく、メニュー表をテーブルの脇に追いやって、自らの頭を抱えていた。このままでは外交問題化は必至、もはや二人を止められる存在など王国騎士団長をおいて他にいないのだが、呼びに行くにしてもペットの身分で滞在しているエリーゼに単独行動は出来ない。藁にも縋る思いでレドに意見を求めた。)
>1541
(相変わらず減らず口を叩くエリスに「ぐぬぬ」と顔を歪めていたが、いざエリスが公国兵たちに迫り、その中のリーダー格らしき女、クラリスに白手袋を投げつけると興奮して「ヒュゥ……!」と口笛を吹いて。あの女も案外騎士らしいじゃんかと、むしろ感心しているほどであった。)
うろたえてはいけませんエリーゼ殿。剣士も外交も、ああまでなめられて引き下がってたらオシマイですから……ああ、俺は手出ししませんよ。全ては奴自身でケジメをつけるべき事……奴だって承知の上でしょう。
(狼狽するエリーゼとは対照的に、腕を組みながら落ち着き払った様子を見せて。副団長として怒りを飲み込まず、王国の名誉を守る道を選んだのは他ならぬエリス自身だし、自分だってそうすると思ったからだ。なにより相手は他国の騎士を陰で侮辱しておきながら謝りもせず、外交問題になるほどでは無いなどと放言したのである。とっくに斬り合いになってもおかしくない状況で、作法に基づき決闘を申し込むとはむしろ礼儀正しいくらいだと、今回ばかりはレドもエリスの肩を持っていた。
ふと、修羅場を恐れて逃げた騎士の席にあった皿に目が行く。身体を作るためであろう、ゆで卵の山盛りだ。さっと皿を手に取って着席すると、無造作にゆで卵を素手で掴んで。)
うまいゆで卵だなぁ、さすが騎士団。
(エリスとクラリスを尻目に、足を組みながらわしゃわしゃとゆで卵を咀嚼して。レドとしてはエリスを止める義務も理由も無い。動く気はさらさら無さそうだ。)
>1542
もう…!呑気にゆで卵なんて食べてる場合じゃないにゃ!友好国との間に亀裂が入るところにゃんよ…!
(呑気にゆで卵を食すレドに小言を言いながらも、エリーゼもしれっとゆで卵を口いっぱいに頬張っていた。今度は食欲という名の本能に抗えなかったのだろう。まったく綺麗なブーメランである。そんなコントを繰り広げている間にも、エリスとクラリスは険悪な空気の中で話を進めていた。)
それで、決闘をするからには立会人は何方に任せるつもりですか?互いの身内ではフェアではありませんし、出来れば第三国か、軍属ではない方をお願いしたいのですが。
それなら丁度いい子がいるよ。あそこで暇してる少年なんだけど。
少年…!?あ、あぁ…なるほど。確かに私達の年齢からすればそうとも言えますね。
(ただの喧嘩ではなく、正式な作法に基づいた決闘。当然、公正なジャッジを期待出来る立会人の存在は必須である。騎士や公国兵では身内を贔屓する可能性が捨てきれず、どちらにも属さない人間が適任な訳だが、そこで白羽の矢が立ったのが今まさしく傍観者に徹している最中のレドであった。近衛隊の指南役は官職とは異なり、いわば外部の臨時講師のような位置付けである。この場に於いて立会人に最も都合が良いというのが主な理由だが、性格の悪いエリスのことだ。美味しそうにゆで卵を頬張るレドの昼飯を邪魔したいという悪戯心も多分に含まれている。普段のニヤケ面でレドの方を指差すと、「少年」という単語に釣られてクラリスも異様に輝いた瞳で彼に視線を向けた。姿を視認するなりクラリスは肩を落とすが、これはイメージしていた少年像からかけ離れていた為である。)
>1543
うぐっ!……あのバカ!バカエルフ!バカエルフども!
……エリーゼ殿、ゴルドー団長を呼んでください。主人の俺が許すんだ、ペットがどーのとかはこの際どうでもいい。今こそ自分の本分を思い出すんです、第二団長閣下!
(余裕をこいてゆで卵を嗜んでいたが、エリスとクラリスがこちらに視線を浴びせてきた途端、むせて胸をドンドン叩いて。二人が自分に何をさせようとしているのか察しがついたのだ。しかも、公国側のエルフ・クラリスの方は一瞬だが妙に邪な眼差しを向けてきたし、何だか気味が悪い……手近にあった水を流し込んで、なんとか呼吸を整える。
とにかく自分が立会人になったらアリシアにも累が及びかねない。やっぱり決闘を止めさせようと翻意すると、自分以上に美味しそうにゆで卵を味わうエリーゼを小突いて、団長を呼ぶように耳打ちして。先ほどまで傍観者として悠々としていた少年が、ここに来て急に焦り出した。)
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