Meeting of fate（〆）

──分かった。今はまだ何も応えられないけど、ちゃんと考えてみるから。私に対する植野くんの気持ちに偽りはないっていうのは伝わってきたから。（ 真っ直ぐに見つめるその視線にトクン、と胸が高鳴るのを感じつつ同じように視線を合わせて ）

──…ありがとうございます。（ 今まで好意をちらつかせてはいたものの、やっと気付いてくれたことに嬉しさを隠し切れずに素直に笑みを浮かべ。あっという間の帰り道ではあるものの、彼女を見送るように立ち止まり ）確かそろそろ会長…堀川先輩の家でしたよね。では、また。


おはよ。久しぶりだね？（ 手ひら ）キリがいいけど、このまま続ける？文化祭準備をしながら互いに意識して、文化祭で距離を縮めてもいいかなって思ったよ。

植野くん、各クラスに渡した書類ってもう全部揃ってる？明日までに先生に出さないといけないんだけど。（ 1週間後に控えた文化祭の準備を急ピッチで進めていく中で、まだこちらの手元に届いていない書類に気づき副会長である彼に訊ね ）


聡くん久しぶり。一応距離を縮める所まで進めていきたいから文化祭の準備している所から始めさせてもらったよー。

──はい、これで全クラス分です。空欄がないか確認しましたが、それぞれちゃんと決まったようです。会長も目を通してください。（ ギリギリになって提出された書類には各クラスの出し物が書かれておりチェックとサインを入れると、整えて彼女に書類の束を手渡し ）


わかった。じゃあ、もう少しこの設定でいくね？よろしく。（ 手ひら ）

ありがとう。後で確認して職員室に持って行ってくるね。あとは──（ 書類を受け取ると枚数を確認して机の上に置いて、再び先程作業していた仕事に取り掛かり。時折他の生徒会のメンバーから質問や確認事項を要求されるとそれに対応し忙しくし始めて ）

……。ああ、それは──…。（ 生徒会役員と彼女のやり取りを静かに見守るも時折話題を振られれば自分の意見をはっきりと伝え。当日の動きを確認しようと彼女の前へ向かい、紙を見せ ）──会長。当日の動きですが、こんな感じに纏めましたがこれで大丈夫でしょうか？文化祭実行委員とこの間話したのですが。

んー、そうだね。当日の動きはこんな感じで大丈夫だよ。ちゃんと実行委員と話合ってくれてたんだ。ありがとう植野くん。（ 生徒会のメンバーとの話を終えたところで彼から話しかけられ、紙を受け取り内容を確認すれば承諾するように頷いて ）

わかりました。ではこの書類を皆に配っておきます。（ 書類を人数分刷っていくと役員たちに配り、他の役員たちのサポートに励み。ふと彼女が困っていないかと視線を相手に投げて様子を見ていて ）

んー…あれ、おかしいなあ。とこ行っちゃったんだろう？（ 作業に取り掛かっているととある資料が無いことに気付き、机の中や書類の束から探し始め、隣に座っている書記係の男子生徒に声をかけ ）…ね、高橋くん風紀委員から預かったプリント知らない？もう一度確認して風紀委員長に渡さないといけないんだけど見当たらなくて。

……。会長、探しているのはこれですか？先程散らばっていたので、挟んでおきました。（ 少し目を離せばこれだ、と苦笑を漏らすも、自分を頼るのではなく高橋を頼ったことにむっとしながらも、“委員会提出書類”と書かれたファイルを差し出し ）

！ありがとう植野くん、あとはこれを確認して…提出するだけだ。あとは私がやっておくから皆もう帰っても大丈夫だよ。（ ファイルを受け取り中を確認するとほっとした笑み浮かべ。下校時間はとっくに過ぎており、薄暗くなってきたためキリのいい所で皆には帰ってもらおうと指示を出し ）

…いえ、別に当然のことをしたまでです。（ 表情を緩める彼女にどきりとしながらも、ふいっと視線を逸らして。彼女の言葉に甘えて他の役員たちが帰る中、その場から離れることはなく先程の作業を静かに続けていて ）

──あれ、植野くんはまだ帰らないの？他の皆は帰っていったけど。（ 静まり返った生徒会室を見渡せば、向かいの席に座っている彼に視線を向けつつ作業を続けたまま問いかけて ）

──…好きな女性にこんな暗い夜道を一人で歩かせたくないんです。会長は嫌ですか？僕と一緒にいるのは。（ 作業の手を止め顔を上げれば、静かに答えて。クールながらも彼女を想う気持ちを真っ直ぐに示し、瞳を彼女から逸らさずにいて ）

…ううん、嫌じゃないけど。植野くんは方向が反対なのにこの間も送ってもらったし…。（ ゆるりと首を横に振ると申し訳なさそうに眉を下げて ）

……。（ 沈黙した後に深いため息をつくも、席を立って彼女の隣に座り。申し訳なさそうな彼女を励ますように頭を撫でて ）──会長と一緒に帰りたいんです。それでいいじゃないですか。今更遠慮なんていりませんし、どうしても気が引けるというなら…僕のこともっと意識してください。

──それならお言葉に甘えて送ってもらっちゃおうかな、でも植野くんの事意識するって…どうすればいいの。（ 今まで異性に頭を撫でられる事がなかったためか戸惑いながらも頷き。ふと彼を見つめながらぽつりと呟くと首を傾げて ）

……。あの、今まで恋愛とか…好きな人とかいなかったんですか？一度も？（ 作業の手を止めるとじいっと彼女を見つめて。しかし、この鈍感な彼女に果たして自分の気持ちがちゃんと伝わっているのか不安で額に手を当てて ）

あー、うん。今まで恋愛対象として見てこなかったから…。私おかしいのかな？（ 彼の反応に不思議そうに首傾げながらもこれまでの事を思い浮かべて ）

はい、かなり会長は変わってます。鈍感にも程があると思います。（ 眼鏡をくい、と上げてばっさりと吐き捨てるように述べるも少し考え込み。そっと彼女の手を取ると、瞳を揺らがせ彼女に問いかけをして ）──…どうしたら、意識してくれるんですか？年下ではダメ、ですか？