フリード 2024-04-29 23:50:34 |
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……はいよー。
(言うが早いか脱ぎっぱなしの上着へ伸びた手が、彼の几帳面さと内心の葛藤を物語っているようで。どこか機械的なこの少年から唯一熱を感じるのはバトルの時。それともまた違う人間味のある新たな一面を垣間見た気がして、ぽかりと開いていた口が次第に緩みだす。もちろん本人に伝えるつもりはなく、片付けに勤しむ真剣な横顔をこっそり眺めて、集中に水を差さないように声量を抑えて短く了承の旨だけ伝える。その間も手は休ませずにさっと洗い物を済ませ、片方にだけ砂糖を溶かし、カップを手に相手の元へ。
開けてもらった場所に細く湯気の立ち上るティーカップをそっと置き、もう片方は手に持ったまま革張りのソファに身を預ける彼と上着との間に割り込み、了承も得ずに隣に腰を下ろす。眼前の机上を埋め尽くしていた資料達は大きさ順に重ねられ、上着も売り物のように整えられていて思わず感嘆の吐息が洩れた。薄く開いた隣の部屋へと続く扉から彼へと視線を移した後、冗談のような気安い口調とは裏腹にほんの少しの期待を瞳に滲ませてダメ元の依頼を)
――すごいな。書棚の整理をする時に呼んでもいいか?
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