用心棒少女 2024-04-16 01:26:03 |
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──、
(離された体温にゆらりと揺れるように姿勢を戻した。相変わらず瞳に宿ることの無い瞳ではあるけれど、決めたことを覆すつもりはなく指先に摘んでいた塊を再び包みに戻してくしゃりと握り込む。美味しそうでも、飼い主が否と言うのなら従うまで。
促すように軽く押された背中に数歩前に進んでから振り返り、ぺこりと頭を下げてから再び進路を早足で部屋の奥へと向かう──おやすみ、だとか、何かあれば呼び出してくれ、だとか言うべきなのかもしれないけれど、飼い主と買われた身に親しげな挨拶なんて不要だろうから。
鍵のかかっていないその部屋に滑り込むように入り込み、包みは入口近くの捨て箱へと放り捨て、外行用に着込んでいる服も脱ぎ捨てて──部屋で着ている薄手の着物に着替えて髪も解いてしまえば、身体に残る傷も何もかも暗い部屋では見えやしないだろう。武器は持っていませんよ、と忠誠を示すように着たその着物は少しだけ肌寒いけれど。
帯を締めながら奥の寝台に腰掛けて──怒られるかと思った、少しだけ怖かった、打たれた背中が痛い、袋破けちゃったから今度はもっと上手くやろう──そんな取り留めのないことを考えながら目を伏せて足先で床を撫でて)
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