用心棒少女 2024-04-16 01:26:03 |
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──いらない
(綺麗な目が凪いで呆れたように影を作る。あの場で断ったとして──否、多分断らなかっただろうけれど──相手の逆鱗に触れるような行動をしなかっただけ僥倖に違いないのだ。飼い主様の反応を見る限り。
手にかかる大きな手は何だか少し冷たく思えて、気を取られている間にも唇に触れそうな距離で飴が揺れる。甘い匂いに、はく、と意味もなく空気が唇から漏れる。でも食うなと言われていることは分かっているから、首を横に振り唇を引き結び──飴を口にしない代わりに少しだけ頭を下げて、自分とは違う体温に甘えるように頬を擦り寄せて。毒だったとしたら一思いに食べてしまえば救いもあるのかもしれない、でもこの人に叱られるのも見捨てられるのもどうしたって怖いものなのだから救われない。手に噛みつかないのも、つまりは従順なフリに似た意思表示なのだから)
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