中華娘 2024-03-28 09:57:33 |
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……ふふ、君は本当に海が好きだね。良いよ、行こう。
(恭しく拱手をした従者に、満足げな表情を浮かべ。スラム生まれだという彼女は戦闘以外にまともな教育を受けてこなかったらしく、拾ったばかりの頃は果たしてどうしたものかと頭を抱えたものの、物覚えが良いのか、礼儀作法も美術品の知識も教えればそれだけスクスク成長していく様子は頼もしく。未だに少々お転婆なところはあるが、それもご愛嬌だろう。行儀が良いだけの人形にするつもりなど毛頭ないし、戦士としての腕を見込んで彼女を引き取ったのは自分なのだから。行き先の希望を尋ねれば、彼女が目を輝かせてリクエストしたのはいつも2人で散歩に行くお馴染みの場所。こうしていつでも海を見に行けるなど、意識的にも無意識的にも上流階級の慣習に縛られていた頃からは考えられない生活で。出会った頃から変わったのは、彼女だけではないのだろう。ふわりと微笑み従者のおねだりを了承すると、手際よく指示を出して)
紅鈴、荷物を準備しておくれ。僕は表の看板を「Closed」にしてくるから。
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