…へえ、そうかい。 (纏わり付く白煙を手で軽く払い除け、何処か煙たげに、細い躰をゆったりとくねらせる眷属達を本殿の中へと避難させた。更に一歩、樒の方へと足を踏み出し─薄い白煙のベールを貫通して顔を寄せる。感嘆を紡ぐ声色は今しがたまでと何一つ変わらない、何処までも穏やかで物静かなもの。三日月型に細めた、鮮血の如く赤い瞳が微かに揺らぎ、あくまでも樒の反応を楽しむように微笑んでみせて)