プシコロギアの嘯き ( 〆 )

そういや、うちの寮知らない荷物運ばれてきたの見たんだよね。噂の転校生ってその人だったりする？

( 柔らかな春の日差しが窓から薄く差し込む、心地の良い暖かさが漂っている教室は雰囲気と相反するように酷く騒がしい。長期休みの出来事やクラス分けの一喜一憂、内容は様々だが各々が久しぶりに会う友人達と会話を気の向くまま弾ませていた。勿論己とて例外ではなく、体と返事こそ此方へと向けているものの視線は自分のスマホから動かない錆利休の頭、可愛らしいリボンと瑠璃色の束ねられた髪を春風に揺らす親友と言えるような彼女、二人の友人との会話にただ夢中で。とは言っても一つ屋根の下で共同生活を営んでいる関係上、休み期間の生活リズムや出来事などは語らずともある程度把握している。となると話題の中心は必然的に、新しくやってくるであろう一人または二人の新しい人間へと移ろう。記憶を辿り僅かながらも寮内の廊下に佇んでいた簡素な段ボール箱について言及したその瞬間、教室のドアが音を立てて開かれた。悪戯がバレた子供の様に皆各々の席へと散っていき、己も親友に手を振ると大人しく自分の席へと座って )