館の魔女 2023-10-17 21:30:43 |
通報 |
「では失礼ながら、ご相伴に預からせていただきましょう。ビオラ様も、火の取り扱いにはご用心を」
お誘いを快諾し、頼まれごとを一つづつこなして行く。ティーセットやサラダを慎重に客間へ運び、シチューを皿に取り分け、それらも客間へ並べる。勿論並べ方には気を遣い、食器の角度や距離、配置が理想的なものになるように整える。思えばこうして食事の準備をしたり、誰かと食事を共にすることは随分と久し振りだ。騎士を離れてからは基本的に安く購入できる質の悪いものや、粗悪なエールで餓えを凌いでいたので、しっかりした食事が採れる上にそれが主人の手作り、更には共に食事を行えるとなれば喜びも一入である。
やがて自分が納得の行く配置が仕上がると、腰に手を当てて何度か頷いた。我ながら完璧にできたつもりだ。
トピック検索 |