館の魔女 2023-10-17 21:30:43 |
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「力仕事には自信があります。体を動かす仕事であらば、私にお任せあれ」
騎士の頃に比べれば力は劣ってしまったが、それでも依然として他の人に比べれば力はある方だと自負している。この広い屋敷においても、自分に持てる力を遺憾無く発揮して問題なく仕事ができる筈だ。また自分には騎士として戦いを重ねた経験がある。万が一街で荒事になった際には、相手が歴戦の戦士や魔法使いでも無い限り簡単に遇らうことができるだろう。主人は魔法が使えるので荒事にも対応できるかも知れないが、しかしそれでもやはり騎士として主人をそういった事に巻き込みたくは無い。例え叶わぬ相手でも、いざとなれば我が身を盾に……と考えたところで、自分は一体何と戦っているのだ、と気付いて思考を打ち切った。
案内された部屋は、広い上に家具も備え付けられ、そのどれもが上品な色で調和を保っていた。使用人という立場からすれば、これは破格の扱いと言えるだろう。主人のその優しさに一礼しながら感謝の意を表した。
「非常に良い部屋です。落ち着いた雰囲気で、色使いにも美しさを感じます。このような素敵な部屋をいただけるとは、本当に幸福です」
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