…そうか。 (相手の言葉への返答はごく簡素なもので、それ以上何を聞くでもなく、手に持っていたそれをポケットに押し込むと視線を目前の景色の方へと向けた。そうしてまた暫く沈黙していたが、ふと目線は景色から外さないまま口を開く。視線の先には父親と娘らしき二人連れが手を繋ぎ、仲睦まじそうに歩いている光景があった。「…家族、か」誰に言うでもなく、小さくそう呟いて)