匿名さん 2023-08-22 20:24:32 |
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…ふふ、少し、自信がつきそうです。
( 主の口から出た力強い否定の言葉に、なんだか嬉しくなって思わず笑みを零してしまう。その後に礼を続ければ、そのまま部屋を後にするものの、暫く口元は綻んだままで。少しだけ自分が価値ある人間のような気がした。
足取り軽く、屋敷の玄関先にあるポストへと手紙を投函しに向かえば、手紙を入れたその時、向こうから見覚えのある和装姿が視界に入り、一瞬にして軽やかだった気持ちが真っ暗になる。)
「 やぁ、久しぶりだなぁ、ハル。
俺が遠征に出掛けてる間に居なくなってたから寂しくなってね…兄貴直々に会いに来たよ。嬉しいだろ?
──…あのエヴァンス家にって話だったから、衰弱しきった顔を見に来たのに…ルキノ殿は噂に反して退屈な奴みたいだね?」
( ゆっくりと歩み寄ってきたのは他でもない実の兄で、その背後には使用人を2人ほど従えている。どうやらエヴァンス家に来てものの数時間で耐え難くなった自分の姿を笑いに来たようだが、予想に反して自分が元気にやっているもので気に入らないらしい。貼り付けたような胡散臭い笑顔をみると、此方は思わず顔が強ばってしまう。
当主へ挨拶だけでも という兄に対して、勿論、自分が追い返せる筈もなく、力なく主の部屋に戻って扉を叩けば「 主様、突然申し訳ございません。…お客様です。」と述べた。)
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