「 毒を食らわば 」　〆

──原来如此。
(差し出されたパッケージを摘み上げ目線の高さに翳してみれば確かに見覚えの無いもので、相手の所々拙い言葉での説明に耳を傾ける一方最近感じていた違和感の正体がこの錠剤を発端に脳内で繋がり始め形となって浮かび上がって来れば無意識に「なるほど」と一言呟き。いずれは明らかになったであろうが、それにしても嗅ぎ付ける早さと勘の良さは目を瞠るもの。時折見せる発作的な反抗のようにただ面倒事を増やした訳では無いと理解すると、それを懐に仕舞い煙草の灰を灰皿へ落とし。しかしながら今回の相手の暴れようを看過する理由にはなり得ず、普段相手を叱る時よりは落ち着き払った声で滔々と説教を並べ)
簡単に他所の組の奴に手ェ出すんじゃねぇ。何度も言っただろ。感情で動くな。テメェの身の振り方も判断できねぇような犬は必要ない。夜鈴、お前の主人はお前自身じゃない。俺だ。お前の行動も考える事も俺次第。自分がした事が、言った事が俺の目にどう映るかを考えろ。そんな事もできねぇ犬の面倒を見てやる義理は無い。分かったな。