グラサンオールバックの悪魔(♀) 2023-07-02 08:48:30 |
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…アイツ、上手くやってっかなァ。
(ジャスティスは拷問中、対象を余所目にぼんやりと呟く。─あの不気味な子供は、彼女の目から見ても随分恐ろしかったらしい。透き通った中にも底知れぬ闇を秘めていた─
アリシアに問われた少年は小さく首を傾げ、相変わらずのあどけない表情で答えてみせた。「えっと…ぼく、じごくからきたんです。あくまさんたちに、『おまえはてちがい』だったっていわれて、おまえはてんごくにいきなさいって」─高等悪魔ジャスティスに懐く、彼女に「底知れぬ闇を秘めている」と評される彼はなんでも良く知っていた。眼の前の、天使だかなんだかよく知らないが、この妙に白い服装の人間の前でどのように振る舞ってやれば喜ぶか、警戒しないかなんて彼にはとっくに分かっている。それでも分からないのは、そう。自分の大好きな、恐ろしいほどに顔立ちの美しい、絵の具の赤を塗り重ねたような瞳をした、『ジャスティスおねえさん』だけ。彼女には自分の培ってきた対人用のスキルが一切通用しなかった。何をしても、彼女は目を細めて、呆れたような表情で『そうかよ』と言うだけ。だから、自分は彼女のことが大好きなんだ─少年はアリシアを観察し、子供らしく振る舞うことに決めたらしく、アリシアの瞳を潤んだ大きな黒い瞳でじっと見つめ、「ねえ。おねえさん、もしかして…てんしさま?ぼく、てんごくにいきなさいっていわれたけど…よく、わかんないんだ。てんごくのどこにいけばいいの?おしえて、てんしさま」と拙い声で喋りながら、いかにも心配げな表情を浮かべ、アリシアの服の裾を掴んで小さく引いて)
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